今日は、ビジネス的なお話です。

「独立する場合、独特の勢いや流れできることが多いですよね」というお話です。

 

おはぎ屋さんとして独立するまでの記事

ちょっとした記事があったので、ご紹介。

「和菓子はすべて独学」1日3000個売れる”カラフルおはぎ”が大阪で誕生するまで(PRESIDENT ONLINE)

 

記事の内容は、「自分は特に、人生で何もやりたいことがない」という状態だった女性が、大阪でおはぎ作りで独立するまでのお話です。

これ、上記の元記事がとても細かく独立までのステップを描いていて素晴らしいので、おすすめです。

 

で、今回はその内容をざっと紹介しつつ、私なりの解説も追加してみましょう。

そして私が伝えたいことが、「独立する場合、独特の勢いや流れできることが多いですよね」ということです。

 

「面白いのに、仕事にしようという感覚がない」という現象

上記記事の女性は、高校時代に喫茶店でアルバイトをしていたって言うんですよ。

そこで、寒天からあんみつを作ったり、シュークリームを作ったりしていたんですが、これがちょっとした工夫で大きく味が変わって、おいしくなったようで。

そこから「どうすればもっとおいしくなるだろう?」とか、「どうすれば、もっときれいに見えるだろう?」と味や飾り付けを試行錯誤するようになって、それが面白くて、思わず熱中してしまいます。

でも、「これを仕事にしよう」とは、なぜか思わなかったと。

 

こういう「面白いのに、仕事にしようという感覚がない」というのも、好きなことではよくありますよね。

だって、「仕事はしんどいことをするものだ」という常識があるからです。

世の中では「楽しいことは、趣味としてお金を払うもの。仕事は苦しいことをして、お金をもらうこと」という常識があるわけです。

私たちはそういう常識があるから、「楽しめること」と「それでお金をもらうこと」という発想がなかなかつながらないんですよ。

だから、「就職しなきゃ」、「みんなが評価しているものにしなきゃ」とか考えてしまうわけなんですが。

 

「自分で何かしてみたら?」

で、この女性は「なんとなく作るのが好きだから」で芸大に入って、デザインを専攻していたので、京都の寝具メーカーに就職して、生地のデザインをするようになります。

でも、5年でやめることになります。

それは、お客が喜んでくれている実感がなかったし、歯車として動くしんどさがあって。

その上、会社が京都に事業を集約することになって、大阪から通うのも面倒だし、結婚もしたしで、やめることにしたと。

 

そしてパート生活を始めるんですが、なんか手持ちぶさたで、旦那に「私ももっと、何かできることはないかな?」と相談したわけです。

すると、旦那はこう答えたと。

「アルバイトとかではなく、パティシエとか自分でなにかしてみたら?」

 

さすが大阪、こういう発想が商売の街!(笑

こういう発想、大好きです。

「自分で何かやってみたら?」という発想、これが素晴らしいですよね。

そして、この女性には、やっぱりそういう「自分で試行錯誤する」というのが合っていたんだろうと思います。

 

なら、さっそく明日から始めよう!

それで、いろいろ相談し合って、ついに「おはぎ作りならいいかも」と直感が来ます。

というのも、この女性はずっと、仕事帰りにおはぎとかわらび餅とかを買っていて、食べていたっていうんですよ。

それで、好きでいろんな店を食べ比べしていたので、味の違いも分かるし、「おはぎは、すでに自分で深く研究していた分野だった」と分かります。

 

それまではいろいろ「なんか違う」と感じていた旦那も、そのアイデアに何かピンと来たようで、こう言います。

「おはぎ、いけるんちゃう? もう明日からあんこ炊き!」

 

この旦那さん、もう最高でしょ!(笑

「明日からさっそく始めようよ!」

好きなことって、こういうスピード感がありますよね。

そして、それぐらい急激に未来は変わってゆくことになります。

 

あんこ炊きの日々

で、今まであんこなんて炊いたことがなかったので、次の日から、怒濤のあんこ炊きの日々が始まります。

でも、それも楽しいことなんですよ。

だって、いろいろ調整して、おいしいあんこを作れるように試行錯誤するのが好きなんですから。

 

そして、「おはぎ屋さんをするのが夢」と、この時期にようやくはっきり分かってきて、それを言うようになりました

すると不思議なことに、その行動が不思議な縁をもたらします。

とある人から、「それなら、イベントみたいな感じで売ってみたら?」と提案されて。

そして即座に「やります!」と決断して、とんとん拍子でことが進んで、とあるカフェでイベントをすることになったと。

 

そこから、研究に研究を重ねて、自分にとって最高のおはぎを仕上げます

こういうニッチなことに共通するのは、「まずは自分にとって最高のものを仕上げる」なんですよね。

他の人の顔色をうかがうのではなく、まずは圧倒的な自分軸があって決めて、その後で多くの人に喜ばれるように微調整するわけです。

だって、「あんこのおいしさ」という点では、自分が一番よく理解していることなんですから。

その上で、「他の人が食べる場合、こういう人が食べるかもしれないから、こう工夫しよう」と配慮して、仕上げると。

 

そして勢いがつく

そして手頃な値段で、200個ほど準備してカフェのイベントで売り出すと、見事に完売できて。

すると、ここからはもう、勢いなんですよね。

チラシを置かせてもらった店から、別のイベント依頼が来たり。

好きだったアクセサリー販売の店からも、依頼が来たり。

 

で、出店先の社長に挨拶に行くと、社長からこう言われるわけです。

「目をつぶったらお店が見えるから、早くオープンしたほうがいいよ」

実は他にも、全く別の場所で、とあるバーのオーナーからこう言われていたと。

「雑穀使ったおはぎなんて、もう数年後には誰かにまねされるで。とにかく早く店出し。場所代とかいらんから、うちのお店の前で売り」

 

こうなると、もう勢いは止められませんよね。

それに、自分が作ったもので誰かが喜んでくれることが、嬉しくてたまらないんですから。

 

「パワーが集まる」という実感

そして、地元の行きつけの居酒屋さんから、「うちの店の前に、手頃な物件が空いたで。一人で始めるには、ちょうどいい大きさや」と紹介されて。

で、その居酒屋の女将さんから、こう言われると。

「今、自分の周りにいろんな人のパワーが集まっているように感じない?」
「感じます」
「それなら、今しかないわ。そういうことが人生で一度も起きない人もいるのよ」

 

独立する場合、こういう「何か分からないけど、周囲からぐっとパワーが集まる」みたいなことが、よくあるように感じます。

それは、焦りではないんですよ。

「早くこうしなきゃ」という焦りは、たいていがうまくいきません。

 

でも、最初は少しずつだった流れや力が、ぶわーっと周囲から集まる瞬間があります。

で、その勢いには乗るのでいいんですよね。

そういう「気軽に始めて、好きに熱中していたら、気がついたらすごい勢いになっていた」みたいなことって、よくあるように感じます。

 

そして軌道に乗る

で、行きつけの女将さんから紹介された物件に興味を持って、実際に見てみると、「ここや!」と直感で分かったと。

そこからは、もう怒濤の毎日ですね。

準備をして、オープンもできて、飛ぶように売れるようになって。

旦那さんも仕事をやめて、おはぎ屋を手伝うようになって。

 

そして、今でも熱心に研究しながら、「変に変わり種を作るよりも、自分にとって本当においしいものだけを作る」として、売れ続けていると。

実際、この人はすごく熱心に研究できるし、それで味が全然違うんですよね。

だから、他の人がその見た目だけを見てまねようとしても、まねできないと。

だって、おいしいあんこの炊き方とか、おはぎとしての完成度は、他とは比べものにならないほど研究してきているんですから。

 

そしてこの人のいいところが、2店舗目も出したけれども、それ以上は店を増やそうとしない、ということです。

こういう「無理に大きくしない」というところもいいですよね。

それは、「そっちの方が、喜んでくれるお客さんとふれあえるから」で。

そうやって小さくともハイクオリティで、お客さんを維持することもできると。

だからもっと愛されて、他の人がまねできなくなるわけです。

 

まとめ

なので、独立していくまでには、そういう独自の勢いみたいなものがよく起きるように感じます。

エネルギーが集約していく感じなんですよね。

もちろん、大きな勢いがなくても、「じわりじわりと増えて、あるときふと『時が来た』と感じる」という流れの場合もあります。

私の場合、そういうじわりじわりと増えることも、結構ありましたからね。

 

どちらにしても、最初は「好きなことでお金を得るなんて、いまいち実感がない」とか「好きなことが分からない」なんですが、ふとしたきっかけでピンと来ることがあって。

で、この方は旦那さんをはじめとして、自立とか独立を促すいい環境に恵まれていたのもすてきですよね。

そういう「自立して動いていいよ」という自由が、より工夫やエネルギーを生み出すように感じます。

 

おはぎなんて、普通は「今時、そんなもので稼げるの!?」とか思いますよね。

でも、「独自な収益」っていうのは、だいたいがそういう「そんなもので稼げるの!?」と言われるものが多いように感じます。

それはあまりにも独自だから、なかなか先例がなくて、「先例がないから、誰もできそうにない」と思い込んでしまうんですよ。

すなわち、実際は「誰もが『ダメそう』と思っていて、誰も挑戦していない」というだけのこともあって。

 

なので、ある意味、「誰もやっていない、常識ではダメそうなこと」にも、チャンスがあるように感じます。

そういう発想があると、意外な「自分に合う、ニッチな場」というのが見えそうに思ったりもします。

 

ほんと、こういう経験談は、参考になる部分が多いですよね。

こういうのは大好きだったりします。

 

ということで今日は、「独立する場合、独特の勢いや流れできることが多いですよね」というお話でした。

今日はここまで~。

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