今日は、ちょっとビジネス寄りなお話をしてみましょう。
「ニッチを目指す場合、無理にフォロワーを増やさなくていい」、というお話です。
ニッチを目指す場合、あえてフォロワーを増やさない、という考え方
昨日の記事で、「ファンとなるフォロワー(身内とか宣伝を除いた、ちゃんとしたファンのフォロワー)が500人ほどいれば、ビジネスとしてやっていける」と触れましたよね。
すると、「フォロワーは多ければ多いほどいい」とか思いがちじゃないですか。
でも、これはメジャーを目指す人のみ通用することであって、ニッチを目指す場合には無理に増やす必要はないように思います。
むしろニッチを目指す場合、あえてフォロワーを増やさないようにする考え方の方が、結果としてファンは増えて、安定するかと思います。
じゃあなぜフォロワーを無理に増やさない方がいいのかというと、「ファンではない人が来る」のは、結構弊害が大きいんですよ。
これは特に、自分なりのビジネスを立ち上げる初期で、うまくいかなくなることが多くなります。
私たちは好きなことをして、それでできたものを相手に分かち合って喜んでもらうことになります。
で、相手が喜んだり、そうでなかったりすることで、私たちはフィードバックを得て改良していく流れになります。
でも、私たちが持つ「好きなこと」というのは、最初は何が本当に好きなのかよく分かっていないものなんですよ。
そういう時にファン以外の人がフィードバックに参加すると、「こうしなきゃ売れない」というメジャー的な思いが入りやすいんですよね。
そして、自分を見失いやすくなります。
女性向け恋愛小説で「売れる」メジャー法則
例えば「女性向けの恋愛小説を書いて生きていきたい」という場合、最近の女性向けメジャーでは「これが売れる」という経験則が相当決まっているっていうんですよ。
恋人役となる男性は、イケメンで大金持ちで権力者で圧倒的な力を持っていて、傲慢で主人公を強引に支配しようとする俺様系の性格だと。
で、主人公の女性は、そんな男性に支配される立場になってしまい、振り回されつつも肝心なところで助けられて、恋をしてゆくと。
それが基本パターンで、実はそういう作品ばっかりらしいんですよ。
これは私も複数の女性作家さんから愚痴られているぐらい高頻度で耳にするので、知っている人も多いかもしれませんが。
でも、作家さんにとっては、そういう構図を書きたい人ばかりではありませんよね。
私が知っている人では、「ドロドロ系の、女性向けの百合ものを書きたい」みたいな人もいるわけで。
そういうメジャー系とは違う「好きなもの」を持つ場合、ファン以外の人が来たら、なんか危うくなりそうですよね。
売れるメジャー法則は、実際に売れてしまうのが困りもの
実際のところ、メジャー系の「これが売れる」的経験則は、実際にこれは厳然として「売れる」んですよ。
するとファン以外の人は、「こうでなきゃ面白くない」、「こうしなきゃ売れないよ」と作者にメジャー系の考えを植え付けます。
ファン以外の人は、作者の好みとかは一切考えませんからね。
で、メジャー系経験則を取り入れて売れなければいいんですが、これがたちの悪いことに、実際にはそこそこウケがよくて、初期ではニッチを攻めるよりも売れてしまうんですよね。
ニッチの初期というのは、とにかく売れないものです。
ニッチは初期の停滞状態が長いですが、途中からぐっと伸びてきますし、衰退もゆっくりで売り上げをすぐに失うことはありません。
一方で、メジャーを取り入れると、悔しいことに「すぐにある程度は売れてしまう」んですよ。
これは上記の女性向けの経験則だけでなく、有名な作品の二次創作をしたり、男性向けならエロを取り入れて18禁作品にすることでも、同様にすぐにそこそこ売れてしまいます。
例えば普通の絵描きさんでも、オリジナルなら全然反響がなかったのに、ウケ狙いで艦これのキャラを描くと急に反響が出て、そればっかり描くようになってしまいます。
で、オリジナルでは売れないので、戻れなくなってしまうんですよね。
艦これが好きならいいんですが、そうでないことが多いわけで。
すると、変にメジャー的な要素を含むことになり、ニッチを攻められません。
で、メジャーに合わせるのも好みません。
こうして、いつしかメジャーとニッチの間でどっちつかずになってしまいます。
一番稼げないのは、どっちつかずの状態
一番稼げないのは、メジャーとニッチの間でどっちつかずの状態です。
変にメジャーを取り入れるのは、最初こそいいんですが、後から伸びないんですよ。
これは言うなれば、「売り上げの高利前借り」みたいなものです。
こうして、メジャーにもニッチにも攻めることができなくなり、自分を見失って、最悪な状態になってしまうわけですね。
まあ、私はよく言っていますが、メジャーとニッチ、どっちを攻めてもいいんですよ。
このブログはニッチ向けなので、ニッチ系の考え方を主に紹介してはいますが、メジャーはメジャーでOKです。
でも、どっちつかずが一番よくないと。
これは面白いほど、時代や世間に翻弄されて落ちぶれていきます。
作家さんでも、「私はこうしたい。でも、こうしなきゃ売れない」と感じている人は多いんじゃないかと思います。
それは、メジャーとニッチの間でどっちつかずになっているために起こることですね。
変にファン以外の人を入れると、変なフィードバックがあって、「こうしなきゃ売れない」と思い込むようになります。
ですが、これはファン以外の人を手放して、ファンだけにフォロワーを絞り込むことで、その感情から解放されます。
そして、急には伸びませんが、着実に売り上げを伸ばすことができます。
ゆっくり上がった売り上げは、すぐには落ちませんからね。
こうしてニッチを攻める人は、長期間にわたって安定した収益が得られる、ということです。
ニッチとは、「反メジャー」ではない
それを踏まえた上で、ここの記事とか見てみるといいでしょう。
これこそまさに、メジャー的な考え方の代表格です。
メジャーでは、「鬼畜、俺さま、ドS」が、ものすごく売れて、逆に「弟、ワンコ、草食」が全く売れない世界です。
じゃあ、ニッチとはどういうことなのか。
ニッチとは、「弟、ワンコ、草食」を主体とすることではありません。
それは「反メジャー」、「アンチメジャー」であって、他人軸でしかありません。
ニッチの考え方はそうではなくて、圧倒的な「自分軸」で攻めることです。
すなわち、「弟的でワンコタイプで、草食で臆病な小さな男の子で、女性に耐性がなくて恥ずかしがり屋で、そんな美少年に強引に迫って困らせ顔を見つつ、それでも実はその子も恥じらいつつも内心は喜んでいるのがにじみ出ていて、そんな子と学校や家でキャッキャウフフとスキンシップをするようなシチュエーションが大好きなんじゃああ゛あ゛あ゛あ゛!」と、その境地を新たに開拓するようなアプローチです(笑
この「圧倒的な自分軸」が、ニッチです。
別名、「我が道を行って、その我が道を圧倒的に仕上げる」ですね。
そしてこういうニッチでは、お客のほとんどをリピーターが占めるので、上記記事で言っているような「キャッチーなタイトル」なんか必要としません。
作者とファンの間で絆が結ばれているので、ファンは「この作者の作品なら、全て買う」というスタイルです。
作者からすると、一般の人に手にしてもらうと、逆に苦情が来てモチベーションが落ちるので、あえて普通の人が手にしないようなタイトルにすることもあります。
実際問題、「モチベーションを奪うような客」というのは、「ファン以外の人」ですからね。
そしてクリエイターにとって、モチベーションはエネルギーで、「仕入れ」や「材料」、「素材」と同じです。
どんな世界でも、素材や材料は、良質なものを確保するものです。
なら、モチベーションを落とすようなお客は、仕入れる材料を汚すような存在なので、遠ざけた方がいいと分かります。
まとめ
そういうこともあって、「好きなことをして生きていきたい」という場合、ほぼ確実にニッチ系になります。
その場合、最初は無理にフォロワーを増やそうとする必要はありません。
むしろ、最初は「ファン以外の人は入れない」ぐらいの方がいいでしょう。
すると、自分にとって大好きなことだけを、思い切って表現できるようになります。
そして実力を上げてゆくことで、ニッチな業界で存在感を増してゆき、売り上げも増えていく、という流れですね。
そんな風にニッチを攻める場合、フォロワー(ファン)は500人もいれば十分でしょう。
もしメジャーを目指しているのなら、「招かざる人を招く」でも大いにアリですし、むしろ何万人とこちらからフォローして宣伝するといいでしょう。
でも、もしニッチを目指す場合、招かざる人は自分軸をぶれさせるだけなので、無理に増やす必要はありません。
むしろ、あえて増やさないようにする方が、自分軸が作れます。
すると、圧倒的な自分軸を発揮しやすくなって、ニッチでもうまくいきます。
世間ではメジャー系の教えばかりなので、こういう違いを教えてくれる人が、ほとんどいないんですよね。
こういうことを学ぶことで、ニッチでもうまくいくようになるんじゃないかと思います。
ということで、今日は「ニッチを目指す場合、無理にフォロワーを増やさなくていい」、というお話をしてみました。
今日はここまで~。