今日は「世の中の仕組み」についてのお話です。

なぜSNSで「続きはプロフィール欄で」とうながすアカウントはうさんくさいのか、というお話をしてみましょう。

 

「続きはプロフィール欄で」のうさんくささ

SNSでは、たまに「続きはプロフィール欄で」とうながすアカウントがありますよね。

だいたいそういうアカウントは、プロフィール欄に商材の販売用のリンクがあって、タップすると販促サイトに飛ぶことになるんですが。

 

そしてそういうアカウントや人って、すっごいうさんくさいじゃないですか(笑

今までの私は、それがなぜうさんくさいのかを言語化できなかったんですよ。

でも、それをようやく言語化して説明できるようになったので、今日はそれについてお話ししてみましょう。

 

なぜうさんくさいのか

結論から言うと、そういう「続きはプロフィール欄で」とうながす人やアカウントは、「言っていることとやっていることが違う」なんですよ。

それが矛盾を生んで、うさんくささを出しているわけです。

 

これを説明するために、1つの「世の中の仕組み」について説明しておきましょう。

何かを教える教材系の内容には、2種類の大きな分野があります。

1つが「奪い合いの内容」、もう1つが「境地開拓の内容」です。

 

奪い合いの内容は、シェアを奪うための方法論

1つめの「奪い合いの内容」というのは、文字通り社会でシェアを奪うための方法論を教えていることになります。

簡単に言うと、「成功の確証が高いけど、多くの他者がそのノウハウを採用すると、自分の利益が落ちる」というものです。

 

例えば「商材をこうやって作って、SNSでこうやって販促活動をして、こうやって売り上げを作る」という、情報商材マニュアルがあったとしましょうか。

すると、そこで「みんながその技術をまねて活動すると、どうなるだろう?」と考えてみます。

そこで「競合が多く出てきて、自分の利益が落ちる」と分かれば、それは「奪い合いの内容」になります。

 

奪い合いのノウハウは、基本的に表に出さない

この奪い合いの内容は、具体的にマニュアル化できるので、分かりやすいのが特徴です。

言い換えると、マニュアルに従えば多くの人でもできるので、多くの「工夫できないタイプの人」が「私もそういう欲しい」と願います。

ある意味、「秘伝のコツ」みたいなものです。

 

なのでこういう奪い合いのノウハウは、基本的に表に出さないものです。

だって、出せば出すほど他社にまねされて、自分の利益が減るんですから。

だから会社でも、独自技術は安易に公開しないし、必要なものは秘匿契約を交わしたり、特許を取って守ることで、利益を確保します。

社会とは、そういう「独自技術を守りつつ、一定規模のシェアを奪い合う場所」だということですね。

 

境地開拓の内容は、新境地を開拓するための方法論

一方で、教材系の2つめの内容として、「境地開拓の内容」があります。

これはこれまでに触れた「奪い合いの内容」とは違って、新境地を開拓するための方法論を教えています。

 

この境地開拓の内容は、いまだに成功法則やポジションが確立されていない場を開拓するための、基礎や素材となる方法論を教えています

特徴的なのが、「具体的な成功例が少ない新興市場なので、成功の確証がない」ってことですね(笑

でも、多くの他者がそのノウハウを利用して工夫するほど、新たな業界やジャンルが立ち上がって、市場規模が増えることでみんなの利益になる、ということです。

 

新境地は、分かち合う方が発展する

言うなれば、目の前に未開の肥沃な大地が広がっているようなものです。

それは大きな可能性なのに、それに気づいているのは自分1人しかいないような状況です。

なら、1人だけで耕そうとするよりも、多くの人を誘って、その環境に合う独自の水路や道路、道具を研究して作ったりして盛り上げる方が、みんなの利益になると分かります。

 

そういう境地開拓をする場合、境地についての技術や知識はどんどん公開する方が、利益になるものです。

例えばインターネットの黎明期でも、アプリでは「オープンソース化」というのがはやりました。

それは、自分が1人だけで技術を確保するよりも、他の人も誘って加えて役割分担をして、市場全体を大きくする方が、新たな境地が開拓できるからですね。

だから、境地とは「独自技術をどんどん公開し合って、みんなで発展させてゆく場」だと言えます。

 

なぜ「言っていることとやっていることが違う」のか

そんな風に、教材には「奪い合いの内容を教える教材」と「境地開拓の内容を教える教材」の2種類があるわけです。

で、この違いが分かると、「続きはプロフィール欄で」と言う人が、なぜ「言っていることとやっていることが違う」のかを説明できます。

 

なぜ「言っていることとやっていることが違う」のかというと、それは彼らが「奪い合いの内容を教えているから」ですね。

とてもマニュアル的で、具体的な方法論なので、みんながそれを欲します。

だから売りやすいし、多く売れると。

 

でも、そのマニュアルを売れば売るほど、そして効果的なほど、みんながその技術をまねると、競合が多く出てきて、短期間で利益が落ちてゆくわけです。

それって、自分の利益だけでなく、今まで販売した既存客の利益も減ることを意味します

つまりそれは、「今まで買ってくれたお客の利益を減らしても、自分の利益を作る」ことになります。

それって売る側としては不誠実ですし、「お客をだまして奪い合っている」とも言えますよね。

 

「こっそり教える」と言いつつ、大々的に宣伝している矛盾

だから、そういう商材を売りたい人ほど、「こっそり教えます」とか「本当は教えたくない」とかいう宣伝文句をつける必要があります

だって、「多くの人がそれをまねすると、一人当たりの利益が落ちる」と分かるノウハウだからですね。

 

でも、売る側は「お客の利益が減ろうが関係ない。自分が利益になればいい」と思っているから、「こっそり教えます」と言いつつ大々的に喧伝(けんでん)していると(笑

その象徴が、「アカウント名や、そのプロフィール欄に大々的に商材を宣伝している」ということです。

例えば商材の宣伝には「その秘訣、あなたにだけこっそり教えます」とか言いつつ、アカウント名には「月に○○万円達成!」とか「あなたも利益を出そう!」とか目立つように言っているんですよ(笑

それとか、「本当は教えたくないけど」と言いつつ、すっごい長文できれいな販促サイトを作っていたり(笑

 

だからうさんくさく感じる

だから、言っていることとやっていることが食い違って、うさんくさく感じるわけです。

社会でシェアを奪い合うノウハウは、利益になりやすいからこそ、基本的に公開しません。

もし公開しても、秘匿契約や特許を用いることで、自分だけだったり、契約した顧客だけで利益を守るものです。

 

一方で境地開拓的なノウハウは、成功例が乏しく、利益になるかどうか確証がないし、そのままでは使えず、個別に工夫が必要になります。

だからどんどん公開して、そのノウハウを、さらにそれぞれが個別に工夫して使ってもらうことで、市場規模を盛り上げてみんなの利益にします。

 

トレードオフを錯覚させている

彼ら「続きはプロフィール欄で」的な人たちは、この違いを錯覚させているわけです。

本当は「マニュアル的にできること(奪い合いの内容)」と「工夫が必要なこと(境地開拓の内容)」はトレードオフなのに、あたかも「どっちのメリットもある、究極のものです」みたいに錯覚させています。

その根底には、「販売側だけが儲かればいい。買ってくれたお客の利益が落ちることなんて、関係ない」という思惑があると。

 

でも実際は、「ごく短期ではメリットになるけど、長期になるほどどっちのデメリットも受けるけどね」という核心部分を隠していることになります。

無理にトレードオフをなくそうとすると、そういう「別次元のゆがみ」が生まれてしまうものです。

 

工夫ができないタイプの人ほど、これを見抜けない

そして、工夫ができないタイプの人ほど、これを見抜けないし、違和感を感じられないんですよ。

だって、彼らは境地開拓の性質を持たないし、境地開拓をしたことがないんですから。

だから、多くの人がそういう情報商材を買ってしまうわけですね。

 

もしくは、工夫ができる側の人でも、人生で疲れるほど「そんな夢のようなことを信じたい」と思うこともあるでしょう。

そうして、疲れた人ほどそういう「夢のようなこと」を求めて、うさんくさい商材に手を出してしまうと。

 

まとめ

このトレードオフの性質を理解できると、うさんくさいものからは距離を取れるかと思います。

 

普通ならトレードオフがあるものなのに、きらびやかなメリットしか紹介されていない場合、どこかにデメリットが隠されているものです。

そういう「デメリットがまったくない、きらびやかなもの」に吸い寄せられると、まぁ痛い目を見て当然のように感じます。

 

だから個性がある人は、「普通の人ならデメリットだけど、自分にはメリットになる」という部分に着目するのがいいように思います。

「多くの人にとってはゴミだけど、自分の個性にとっては価値」という価値観のズレも、同じです。

「デメリットが存在しない、完璧なものを得ようとする」のではなく、「デメリットがあるけど、それは自分の個性ではデメリットにならない」というものを選ぶと。

 

すると、トレードオフをうまくメリットにできて、うまく独自の価値を作れるかもしれません。

 

ということで今日は、なぜSNSで「続きはプロフィール欄で」とうながすアカウントはうさんくさいのか、というお話でした。

今日はここまで~。

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