今日は、ちょっと作家向けのお話です。
「読み手に伝わる、分かりやすい文章」を作る、とても基礎的な技術について説明しましょうか。
「相手に伝わる文章」には、二つのスタイルがある
このページを見ている人で、作家の方とか作家志望の方が多いと思うんですが、「相手に伝わる文章」って、やっぱり気になりますよね。
実際、「この文章、なんか読みにくいな~」っていうのはあるものです。
そういう文章って、やっぱりすぐに読まなくなっちゃうんですよ。
小説にしろ論説にしろ、読みやすさというのは、とても重要なわけです。
じゃあどうすれば、そんな「読みやすい文章」になるのか、初心者向けの基礎の基礎を説明してみましょう。
結論から言うと、文章のスタイルには、次の二つがあります。
- 小説的スタイル
- 論説的スタイル
「小説的スタイル」というのは、小説みたいな物語を書くときに用いるものです。
場面が始まって、キャラが登場して、お話が展開してゆく……というものですね。
一方の「論説的スタイル」というのは、このブログみたいに、説明をする時に書くスタイルです。
これは小説でも部分的に使います。
例えば、小説では「解説部分」ってありますよね。
キャラの解説とか、世界観の説明とか、歴史や場所の解説とか、そういう部分にもこの「論説的スタイル」を用います。
この二つをマスターすれば、だいたい読みやすい文章になります。
以下で、それぞれの基本形について説明しましょう。
「小説的スタイル」は、冒頭の5W1Hが全て
小説的スタイルの場合、重要なのは、冒頭の5W1Hです。
5W1Hってよく聞いても、私は全て言えなかったりしますが(笑
「いつ、登場人物の誰が、どこで、誰と、何をしようとしているのか」を、シーン冒頭の2~3行で確実に明確にしておくことです。(なんか1つ足りないような気もしますが(笑
これはもう、クセ付けするといいでしょう。
「翌週の土曜日の朝、千夏は私服姿で、手書きの地図を片手に、家から少し離れた場所を歩いていた。なぜかというと……」
「その三日後の朝、千夏は学生服に身を包み、結乃が通う公立高校の前に立っていた。」
「ホームルームが終わり、掃除のゴミ捨ても終わって教室に戻ろうとしていると、渡り廊下でスズナとばったり出くわした。スズナもゴミ袋を手にしていた。」
こういう説明文章を基本にして、その前に象徴的な会話を入れたりすると、スムーズに場面に入ることができます。
これさえ意識していれば、だいたいほぼ全てのシーンはうまくいきます。
「論説的スタイル」は、冒頭と最後に結論を言う
で、一方の論説的スタイルの場合、重要なのは冒頭と最後に結論を言う、ということです。
これは、次のようなまとまりで書くようにするといいでしょう。
- (冒頭で結論)これから、私はこれについて、こうであると説明します。
- (本文)これについての説明です。
- (最後に結論)ここまでで、私はこれについて、こうであると説明しました。
この3つの構成を愚直に守ることです。
説明することが入り組んでいる場合は、入れ子状にして説明します。
このブログ記事も、だいたいこういうスタイルにしています。
というのも、説明する部分では、最初に結論を言わないと、読み手にとっては「これは一体何を言おうとしているんだろう?」ってなって、散漫になっちゃうんですよ。
でも、最初に結論をびしっと言って、「これからこれについて説明します」としておくことで、読み手は心の準備ができます。
そして、ある程度の「区切り」を予測できるようになります。
説明って、構造や関係をしっかりと伝える必要があるので、ややこしいことが多いじゃないですか。
でも、ちゃんと最初に結論を言うことで、「この辺までが、これについての説明だな」と、説明の構成が把握しやすくなります。
小説の説明文は、論説的スタイルを用いる
で、重要なのが、小説やゲームシナリオの「説明文」がありますよね。
この説明文は、この論説的スタイルを意識して使うようにしましょう。
特に小説家志望の方や、シナリオライター志望の人は、この説明文ができてなくて、説明部分が分かりにくくなることがとても多いものです。
例えば、場面説明でもキャラ説明でも、最初と最後に結論を言うんですよ。
- (冒頭で結論)アルフール国は、元々大陸の覇者だった。しかしここ三百年の間、衰退する一方だった。
- (本文)アルフール国は、……そして帝国との関係は……などなど
- (最後に結論)こうして、アルフール国は、大陸の覇者だったのに、ここ三百年の間、衰退する一方になってしまっていた。
- (冒頭で結論)ジョセフは、正義感が強い男だった。
- (本文)彼は幼い頃に……、そしてこういう出来事があって……などなど
- (最後に結論)それぐらい、ジョセフは正義感の強い男だった。
利点は「覚えやすさ」と「チェックしやすさ」
この2つの利点は、特に覚えやすくてチェックしやすいんですよね。
意識するのはシーンもしくは解説の冒頭だけなので、すぐに覚えられるでしょ。
それに、シーンや解説の開始部分って、ちょうど一息つきやすい場所なので、読み手を意識しやすいんですよ。
なので、今日から即使える技術になるんじゃないかと思います。
後は、強いて言うなら書き出しをスムーズにできることですかね。
シーン冒頭とか、解説の冒頭って、人によっては書き出しに悩むことがあるかもしれません。
そういう場合、書き出しに象徴的なセリフでも入れて、そして続ければ、すんなり書けるでしょう。
他にも、物語の書き出しとかも、悩む人が多いような気もします。
こういう場合も、何か象徴的なシーンや、主人公の解説を入れれば、あんまり悩まずに、スムーズに書けるでしょう。
まとめ
そういうこともあって、「小説的スタイル」と「論説的スタイル」の二つをしっかりと意識して使えるようになると、相手に伝わる、分かりやすい文章が作れるようになるでしょう。
とても簡単で、基礎的なことなので、チェックしてみるといいでしょう。
特に物語を書いている人は、論説的スタイルをちゃんと身につけておくと、説明部分が引き締まるようになるのでオススメです。
ということで、今日は「読み手に伝わる、分かりやすい文章」についてお話ししてみました。
今日はここまで~。