最近はちょくちょく作家向けの話をしているんですが、今日もそれに関連して、書くことについての話をしてみましょうか。
論説と物語では、どちらが書くのに時間がかかるか、というお話です。
論説と物語、どっちが時間かかるの?
もう冒頭から結論を言っちゃうと、私の感覚では、「同じ文章量を書くならば、物語の方が時間がかかる」という感じです。
あ、これはプロットとか構想とか、その辺は一切抜きにして、プロットが完成した後での、「単純に執筆する段階」での比較になります。
私は論説にしろ物語にしろ、どちらにしても設計図はしっかりと作る人なので、一度書き始めたら基本的に筆が止まることはありません。
で、私は物語も論説(いわゆるノウハウ本)も書いてますが、やっぱり論説の方が書きやすいですね。
というのも、論説には「感情の揺れ」がないんですよ。
いったん執筆を中断して休憩に入っても、理屈さえ前後がつながれば、すぐにでも執筆を再開できるんですよ。
でも、物語の場合はそうはいかないんですよね。
物語には、「感情の連続性」みたいなものがあるんですよ。
例えば、さっきまでは哀しい気持ちの場面だったのに、次の場面からは急に元気な場面になると、読む側はついて行けなくなりますよね。
それまでが哀しい場面で、次に明るい場面になるなら、哀しい気持ちから立ち直るような、そんな緩衝帯となるような文章が必要なわけで。
そのために、「感情を、それまで書いていたモードに戻して、シンクロさせること」が必要になるんですよ。
そして、これが結構時間がかかるんですよね。
だから、物語を書いているときに、いったん執筆を中断して休憩でもすると、執筆を再開する時に、気持ちを元に戻す必要があると。
それまで書いた文章を少し前から読み始めて、「ああ、こういう気持ちだった」と思い出してゆき、その気持ちで再び書き始めてゆくわけです。
すると、やっぱり物語を書く方が、時間がかかるものなんですよ。
それに、物語の方が、ある程度まとまった時間を必要とすると。
10分書いて、10分休憩して、また書き始める……とかいうのは、なかなかできないんですよね。
これも、「気持ちを元に戻す」という作業が必要になるからで。
まとめ
なので、私は論説のノウハウ本をがっしがっしと書いてますが、物語でも同じペースで書けるかというと、それはだいぶ怪しいわけです(笑
そういう点では、物語というのは、手間がかかるものなんですよね。
逆に、論説系の文章なら、さくさくっと量を書けることも多いかなと。
まあ、感情をすぐに以前の状態に戻せる人も、中にはいるかもしれませんが。
私の場合、感情を元に戻すのは、以前は10分とか20分とかかかる時もありましたからね~。
つい無意識に読んでいるゲームシナリオとか、小説とかでも、裏側ではそういう工夫というか、心配りがされているんですよ。
すると、「感情的に揺れがなく、スムーズに展開する」という当たり前に感じていることが、実はそれなりの技術に支えられたものだったと知るでしょう。
これは、違和感がなければないほど高い技術になるので、レベルが高くなるほど普通の人は理解できなくなる技術だったりします。
なので、こういう技術があることを知ると、今まで意識していなかった物語でも、より深く楽しめるんじゃないかな~と思います。
そんな風に、今日は論説と物語についてのお話をしてみました。
今日はここまで~。