今日は、思考法についてお話ししてみましょうか。

「多くの人にあてはまる法則」を作る考え方、というお話です。

 

抽象度を上げるには、どうしたらいい?

最近、一つ質問をいただいたんですよ。

私は抽象度をあげる思考がへたらしくて、具体的な文章しか書けません。
どうしたら、中村さんのブログみたいに、深みがあって、面白い文章が書けるのか、現在、模索中です。たぶん、抽象度をあげて、話題をふくらませる力がポイントだと思うのですが。
質問なのですが、抽象度の上げる文章は、訓練次第で身につくものでしょうか?

今日はこの質問にお答えしてみましょう。

 

まず最初に、「抽象度」とは何かを説明しておきましょうか。

私の本を読んでくださった方なら分かると思うんですが、私が持つ大きな武器として、「抽象化」という能力があります。

これは言うなれば、「普通の人なら分かりにくいことを、法則化して、分かりやすく説明すること」ですね。

例えば「運」という一見分かりにくい概念でも、私の本を読んでくださった方なら、運がどういうものか分かりやすく理解できたんじゃないかと思います。

最近では、「物語の面白さ」というものを、「王道プロット」として説明しています。

これは、幾億ものバリエーションがある「面白い物語」を、ごく少数の法則にして、分かりやすく「こういう展開にすると、面白くなりますよ」と説明したものですね。

 

そんな風に、幾億ものあるごちゃごちゃしたものの中から、一筋の本質を見抜く能力のことを「抽象化能力」とか、「抽象度を上げる」と言います

これは、言うなれば「統一理論を作る」ということですね。

アインシュタインの思考法と同じです。

アインシュタインは、エネルギーの法則を、e=mc^2というシンプルな数式で表現しましたよね。

これは、ごちゃごちゃしたエネルギーの反応や法則を一つにまとめて、シンプルに表現したと言えます。

 

抽象度を上げると、どんなメリットがあるのか

抽象化能力を得られれば、何がいいのか。

それは、「本筋を見抜ける」ということです。

例えば物語でも、「これが面白さの秘訣だ」、「これが、面白さを阻害している要因だ」という一本の筋が見抜けるようになります。

「何が問題なのか」を見抜く力があれば、問題はすぐに解決できますよね。

これは、物語だけでなく、お金の問題、心の問題、考え方の問題、人生の問題でも、全部当てはまります。

「ぜーんぶをまとめて解決しちゃう、世の中に幾億もある方法の中から、自分にぴったり合った一本の方法」が見えるようになる、ということです。

 

そして、世の中をシンプルに理解することができるようになります。

例えば世の中の人って、いろんな人が、いろんな考え方でいますよね。

狂ったように叫ぶ人とか、人殺しをする人とか、戦争を始める人とか、精神病にかかっている人とか、いろいろ「理解に苦しむこと」があるじゃないですか。

「なんでこんな世の中なんだろう?」とか、「なんであの人たちは、こんなことをするんだろう?」とか思いますよね。

 

でも実は、抽象化能力をつけて抽象度を上げると、それが理解できるようになるんですよ。

「ああ、これが本質的な原因ね」みたいな。

すると、不思議なことがなくなってきて、シンプルに生きられるようになります

 

同時に、シンプルに理解できれば、シンプルに相手に教えることができます。

だから、相手に分かりやすく伝えられる、ということですね。

池上彰さんは、「分かりやすい解説」とかで有名ですが、まさにこの方と同じタイプです。

 

だから、アインシュタインは「6歳児にも理解できるように伝えられないと、理解したとは言えない」と言っているんですよ。

アインシュタインも、相対性理論を一言で言うと、「時間の流れは誰にでも同じじゃないんだ。勉強している時は長く感じられて、好きな子と一緒にいる時は、短く感じられるだろう。それと同じだよ」と、シンプルに言えたわけです。

それぐらい、シンプルに理解できるか、ということですね。

そういう「幾億もある中から、一本の本筋を見抜くこと」を「抽象度を上げる」と呼びます。

 

どうすれば、抽象度を上げられるのか?

で、質問にある「抽象度を上げる思考はどう身につければよいのか」なんですが。

 

答えの前に、ちょっと話はそれますが、これはシンプルで鋭い質問なんですよ。

シンプルな質問ほど、得てして難しいものなんですよね。

例えば「どうして人を殺しちゃいけないの?」とか、「どうして人は生きるの?」、「面白い物語って、何なの?」みたいな問いかけって、シンプルな質問ですよね。

でも、難易度高いですよね。

 

大人になればなるほど、「そういうもんなんだよ!」とかごまかすようになっちゃうんですよね。

こういう問いかけを素直にできるのは、素晴らしいことなんですよ。

 

まあ前置きはよしとして、じゃあどうすれば、抽象度を上げることができるのか。

私なりの結論から言うと、「好きなことをしていればいい」です。

結論だけ見ると意味不明な回答ですが、まあ聞いてください。

 

実は私は、どうやって抽象度の高い答えを得ているのか、分からないんですよ(笑

「直感で」、「何となく」としか言いようがないと(笑

 

例えば、「『時計』と『みかん』に共通するものを答えなさい」と言われたら、どう答えるでしょうか。

「皮(外皮)に覆われている」とか、「常温である」とか、「人間が持ち運べるサイズ」とか、「いろんな種類がある」とか、いろいろありますよね。

実はこの答えが、「抽象度を上げる」ことであり、「統一理論を作る」ことでもあります。

共通するものを見つけてゆくと、抽象度が上がってゆく、ということですね。

で、私はこれを、5秒と考えずに、どんどんと挙げられる人なんですよ。

 

他の例で言うと、「『鏡』と『醤油』に共通するものを答えなさい」と言われたら、どうでしょう。

実際に、今、ちょっと考えてみるといいでしょう。

多くの人は、結構考え込まないと、思いつかないんじゃないかと思います。

私の場合、結構即答状態で、「醤油の水面も鏡と同じように、姿を映すよね」とか、「部屋の中に存在するもの」、「日用品に分類されるもの」、「スーパーで売ってるもの」、「安価なもの」、「そこそこ昔からあるもの」、「人が作ったもの」みたいに答えられたりします。

 

これはもう、「ひらめき」としか言えない次元なんですよ(笑

統一理論(共通するもの)は、理論的に出せないものなんですよね。

だから、「共通するものを考える場数を踏めば、できるよ」程度の答えしかできないと。

これは言うなれば、「小説は場数を踏めば面白くなる」、「野球は場数を踏めば上手くなる」と言っているのと同じようなものなので、答えになっているようでなっていないんですが(笑

 

そもそも抽象度を上げる必要はあるのか

ただ、ちょっと別のアプローチから回答をすると、「そもそも抽象度を上げる必要があるんでしょうか?」とも思います。

いや、今までの私の説明からはすっごい矛盾しているような答えに見えますが(笑

 

実は、私は「抽象度を上げよう」と思ったことはありません

「抽象度を上げたい」と思ったこともないですね。

なぜかというと、私は「物語の面白さを決める本筋を見つけたい」、「自分の心の問題を解決したい」という目的があったからなんですよ。

それをひたすら真剣に考えていて、本筋を求めていたら、自然と抽象度が高い思考をするようになっただけです。

 

すなわち、抽象化能力というのは、目的ではなく手段なわけですね。

この能力は「欲しかったもの」ではなくて、「ついてきたもの」ということです。

オマケみたいなものですね。

 

だから、目的次第では抽象度を上げる必要はないでしょうし、その目的設定が適切でないから、抽象度を必要としていないだけなんじゃないか、とも思います。

具体的なことを長所にしたって、いいんじゃないかな、とも思います。

 

もし本当に抽象度を上げたい場合、結局私から言えるのは「共通するものを考える場数を踏めば、できる」ということです。

でも、上記のような「スピーカーと石ころの共通点を見つける」とか、「はさみと空の共通点を見つける」とか、やっても面白くないですよね。

やるなら、自分の求める目的をやればいいんですよ。

「幾億もの物語の中から、共通する面白さの法則を見つけ出す」とか、もっと簡単にしたいなら、「この作品とこの作品の、共通する面白さの法則を見つけ出す」でもいいでしょう。

すると、楽しくトレーニングができるでしょう。

 

だから、「好きなことをしていれば、必要であれば抽象度は上がる」ということです。

 

まあ、だいたいあこがれって、自分には持っていないものにあこがれるものなんですよ(笑

私だって、例えば新海誠氏のような、詩的な表現ができる人にはあこがれるんですよ。

それはなぜかというと、私には詩的な表現能力が皆無だからですね(笑

逆に、Gacktとか高城剛氏みたいな同類の人には、私は彼らを大好きですが、あこがれは持ってないんですよ。

相手がすごくても、「ああ、同類だな」と、変なコンプレックスは持たずに、仲間意識を持っているぐらいで。

 

なので、私にあこがれている場合、私のようになる必要すらないようにも感じます。

ないものを得ようとするよりも、自分の長所を見て、それを生かせばいいんじゃないかな、とも思います。

もし本当に欲しいなら、そのまま追いかけていれば、自然と身につくでしょう。

それが、うまくいくコツなんじゃないかな、とも思ったりもします。

 

まとめ

そんな感じで、「抽象度」についてお話ししてみました。

「抽象化能力」とは、幾億ものごちゃごちゃした中から、一本の本筋を見極める能力のことですよ、と。

そして、その能力があると、問題の本質が見抜けるようになります。

世の中をシンプルに捉えることができるようになるので、世の中を理解できるようになるんですよね。

すると、自分の夢や欲求があったとすると、それを一番楽に、簡単に実現する方法が見抜けるようになる、ということです。

 

ただ、別にそんな能力がない場合でも、自分の長所を生かせばいいですよ、ということですね。

もし本当に必要としているのなら、自然と身についていきます。

だから、特に何か特訓をする必要なんかなくて、楽しいことを徹底的に研究して、思考力を高めるといい、ということです。

そうすれば、結果的に抽象度も高まり、自分が持っているものを分かち合えて、楽しく幸せになれて、しかもファンができて、応援されて、充実して生きられるんじゃないかな~とも思います。

 

ってことで、今日は「多くの人にあてはまる法則」を作る考え方についてお話ししてみました。

今日はここまで~。

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