今日は、時流について見てみましょう。
「これから何が売れるようになるのか、時流から読み解いてみる」、というお話です。
何を作るのかで、得られる豊かさが変わる
やっぱり「売れるもの」ってありますよね。
売りやすいものを売れば、それだけ簡単に豊かになれるものです。
でも、時代に外れたものを売ると、どんなに努力をしても、売れないんですよね。
例えば今からポケベルとか売ったとしても、どんなに努力しても売れないでしょう。
一方で、スマホなら売りやすいことでしょう。
それぐらい、「何を売るのか」で変わるものですよね。
じゃあ、これからはいったい何が売れるのか。
それをこれから、時代の流れを通して見てみることにしましょう。
産業革命前では、どの国でも人口の8割ぐらいは農業に従事していました。
で、たくさん農作物を作れる人(たくさん農地を持つ人)ほど、豊かになれる状態でした。
でも、産業革命が起こることで、農作物を機械で作るようになりました。
すると、どんなに個人が「俺は頑張って畑を耕すぞ!」と努力しても、機械を持つ人には相手にならなくなったんですよ。
だから、人口の8割ぐらいが工業従事者になるという、大きな変化がありました。
すなわち、「機械を持つ(作れる)人ほど、機械を利用できて、豊かになれた」ということですね。
その後、インターネットが登場して情報革命が起きることで、機械を情報で作るようになりました。
情報さえあれば、部品調達から組み立てまでできて、工業製品は簡単に作れるし、扱えるわけです。
例えば私たちだって、少部数の同人誌を安価で発注したり、Amazonで電子書籍を出しますよね。
これは、今までは「印刷所」という大規模な機械を持っていなければできなかったことが、今では情報を利用することで、機械を安価で使えるようになったことを意味します。
だから、情報を使えることで、人はできることが大幅に広がるわけですね。
すなわち、「情報を持つ(作れる)人ほど、豊かになりはじめた」ということです。
昔は「農作物」が豊かさの主柱でした。
それが「農作物を生み出す機械」になり、その後に「機械を作り出せて利用できる情報」という風に、より上の次元のものを作ることで、豊かになってきた、ということです。
漫画業界で見る、時代の変遷
実はこの流れは、どんな業界にでも当てはまります。
例えば漫画業界だったとしても、「何を売っているのか」が変わってくるわけですね。
昔は、「もの」という次元に価値が置かれていました。
1970年ぐらいまでは、「漫画を多く描ける人」、「漫画を多く持っている人」というのがもてはやされてたんですよ。
というのも、漫画そのものが、世の中には珍しくて、少なかったからですね。
農作物がなかった時代と同じです。
でも、1970年~1990年ぐらいから、「技術」に価値が置かれるようになります。
漫画家の地位が確立するに連れて、漫画を描く人がどんどん出てきました。
すると、「技術力がある人ほど、漫画家としていい」という世界になりました。
だから、どんどん画力が上がってきて、物語の質も高まってきました。
これは、「農作物」から「機械化」に変わった時代と同じです。
どんなに多くの漫画を描いたとしても、技術がある人の方が売れたわけです。
その後、2000年ぐらいから、「情報」に価値が置かれるようになりました。
「画力が高い」とか、「技術として優れている」という価値観から、「その漫画から何を得られるのか」という情報面が重要になってきたわけですね。
だからここ10~15年ぐらいで、ノウハウ系漫画とか業界系漫画が花開きましたよね。
例えば私は料理系漫画が好きなんですが、これは「料理をどう味わうのか」という情報面を主体にしているわけです。
他にも、例えば私が好きな漫画で「弱虫ペダル」がありますが、「自転車ってこう楽しめる」、「自転車って面白そう!」という業界的な情報が強いですよね。
「この業界はこうなっていて、こうやって勝つ」とか、「こういうのはこういう仕組みになっているんだよ」みたいな説明がしっかりしている漫画が増えたと。
すると、どんなにいい絵を描く漫画家よりも、内容があって、得られるものを作れる漫画家の方が売れるようになった、とういことです。
どの業界にもある、時流の流れ
だから、時流をまとめると、次のように言えます。(ついでに未来の時流も入れておきます)
- (↑メジャー、大量生産大量消費、需要が多い、大きなお金が動く、大規模)
- ものやサービス :農作物や漫画、ゲームなどの「そのもの」
- 技術や機械: 農作物や漫画、ゲームなどの「生産量や技術力」
- 情報: 農作物や漫画、ゲームなどから得られる「情報力」
- ひらめきやアイデア: 農作物や漫画、ゲームなどから実生活で得られる「ひらめきやアイデア量」
- 人間: 農作物や漫画、ゲームなどから得られる「人間としての完成」
- (↓マイナー、ニッチ、需要が少ない、限られた市場、小規模)
上に行くほどメジャー的になり、下に行くほどニッチなものや、とがったものになります。
で、時流、すなわち「売れるもの」はどんどん下の方に移動していると。
そして、時代に応じていいタイミングの内容を出せる人ほど、豊かさが舞い込む、ということです。
多くの人が「メジャーで爆発的にヒットするのが、お金持ちになる道」だと考えますが、実際の「豊かさを得ている人口」で見ると、時代に応じて全然違うんですよ。
音楽業界でもそうですが、どんどん「メジャーでヒットする人」の人口は少なくなってますよね。
昔はCDでもミリオンを売るのが当たり前でしたが、今ではごく限られたアーティストしか売れないわけです。
同じように、今では農地を持つ人よりも、インターネットで情報を売る人の方がお金持ちなわけです。
農地を持っていて爆発的に売れる人ってのは、ごく少数になりました。
それと同じで、豊かさの主柱が下の方に発展するにつれて、実は「時代に合ったものを提供する人」の方が豊かになりやすいんですよ。
確かにメジャーは爆発的に売れているように見えますが、これからどの業界でも、「メジャーでヒットする人口」はどんどん減っていきます。
その代わり、時流に合ったものを提供できる人ほど、豊かさを得られるようになります。
これからどの分野が売れるのか
なら今はどの時代なのかというと、「情報」が花開いていて、ほんのわずかに「ひらめきやアイデア」が生まれかけている、という状態ですね。
先に説明したように、漫画でもノウハウ系漫画とか、業界系が増えたわけです。
だから、言うなれば「ものとしての漫画」とか、「技術力としての漫画」はさして重要ではないんですよ。
「漫画」という「モノ」は、もはや中古本屋にもWeb上にも、既に世の中にあふれるほどあるんですから。
そして、「絵が上手いだけの漫画」とか、「技術力が高いだけで、感動しない漫画」というのも、もはや受け入れられなくなりました。
逆に、今は「得られる情報があればいい」という価値観が花開いているわけですね。
じゃあ私たちの戦略も同じで、「ものとしての漫画」や「技術力としての漫画」にこだわるというのは、時代外れのように思います。
人々が今欲しているのは、「得られる情報」なんですから。
だから、「その漫画で何を得られるのですか?」という観点から戦略を組み立てるといいでしょう。
ちなみに少し未来の話をすると、「情報」の後には、「ひらめきやアイデア」に価値が置かれるようになります。
これを象徴するのが、KickstarterとかIndiegogoみたいな、クラウドファンディングですね。
これは、「情報」が誰にでも手に入るようになると、次第に「アイデアを持つ人」ほど価値が置かれるようになる、ということです。
だから、「アイデアを得られるもの」ほど、次第に価値が出てくると予測されます。
これをクリエイティブな業界に当てはめるとどういう商品になるのかというと、まさに私が作っている「ストーリー作家のネタ帳」がそうなんですが。
人々にアイデアやインスピレーションを与えていくものが、長期的に上がってゆくかなと私は思っています。
ただ、「まだちょっと時代としては早すぎるかな」と感じるので、オススメはしません(笑
時代を先取りしすぎるのも、逆効果ですからね。
その後は、「いいアイデアを生み出し続ける人」に価値が集まるでしょう。
だから、さらに未来では、「アイデアなしでも、良質なアイデアを生み続ける特定の個人に投資できるKickstarter」みたいなものが生まれてきて、成長してゆくでしょう。
まあ、これはまだまだ先の未来かなと思います。
まとめ
そんな風に、時流を見抜けるようになると、何をすれば豊かになりやすいのかが分かるでしょう。
今の時代に、体力勝負をしようとしたり、メジャー的な技術力を高めようとするのは、ちょっと的外れのような気がします。
ある意味、そういう体力や技術は、わざわざ自分がマスターしなくても、情報力(工夫)でカバーできる時代だということです。
そういう体力がなくても、技術力がなくても、「得られるもの」を提供できる人が強いんだと。
もちろん、メジャーで活躍したい人は、体力をつけて技術力を高める方がいいでしょう。
ただし、時流と共に、そういう「メジャーでブレイクして大金持ちになる」という人口は、どんどん減っていくでしょう。
それを見抜ければ、どちらの方向に動くのがいいのか、分かるんじゃないかなと思います。
ということで、今日は「これから何が売れるようになるのか、時流から読み解いてみる」、というお話をしてみました。
今日はここまで~。