今日は、作家向けのお話です。

「個別の場面やアイデアを、うまくつなぎ合わせる方法」ということで、お話ししてみましょう。

 

作品のイメージを、どうつなぎ合わせるのか?

物語を作る場合、最初に「こういう場面がいいな」とか、「こういうセリフを言わせたい」、「こういうキャラ設定でいきたい」という断片的なアイデアがあるかと思います。

そして、それらをうまくつなぎ合わせることで、一つの流れにしようとすることがほとんどだろうと思います。

こういう場合、場面やキャラ設定をうまくつなぎ合わせられなくて、よく悩むものですよね。

「ここでこういう場面を入れたいけど、うまく動機がつながらない」みたいな。

それで、悩んでプロットが進まなくなるわけですが。

 

そういう場合は、一度細かいことから離れてみて、全体から見てみると分かりやすいんですよ。

例えば山道で迷った場合でも、一度高いところから見下ろして自分の位置を確認すれば、漠然とした方向さえ合っていれば目的地にたどり着けるわけです。

それと同じで、プロットで迷ったときは一度細かい場面から離れて、大まかな流れを見てみましょうと。

すると、細かい場面を生かせるようになります。

 

で、耳タコでしょうが、その一番大きな流れのことをメインプロットと呼びます。

メインプロットさえ分かっていれば、基本的に流れで悩むことはありません

アイデアも、場面も、キャラ設定も、やりたいことをなじむ形に変換して使うことができます。

 

「ゲド戦記」のイメージを、メインプロットにまとめてゆく

この「断片的な場面からメインプロットを作る」という考え方を、実際に実演してみましょう。

今回使う例は、宮崎吾朗監督のアニメ映画「ゲド戦記」です。

 

内容はというと、舞台は中世ヨーロッパ的な、剣や魔法が存在するファンタジーの世界になります。

主人公の青年アレンは、エンラッド国の若き王子です。

しかし主人公は、「王子として他者のために生きねばならない」と正義感を持つように育てられたために、逆に「自分の欲求を実現できない」という心の闇を抱えています。

主人公はその心の闇にたびたび体を支配されてしまい、他者を傷つけてしまう……という問題を抱えています。

そんな主人公があるとき闇に支配されて、ついに父王を刺して、父王の持つ「王の剣」と共に逃げ出します。

その逃亡中、主人公はひょんなことからハイタカと呼ばれる旅人と出会い、共に旅をすることで、その心の闇を癒やしてゆく……という流れになるんですが。

 

「ゲド戦記」の問題点

まぁご存じの方も多いかと思いますが、この作品はあまり成功した作品ではありませんでした。

見た方は分かるかとは思いますが、個別のアイデアや場面は素晴らしいんですが、全体としてつなげると、どうも少しちぐはぐになってしまっています。

動機もつながらないし、それによってキャラクターが「動かされている」ような印象を受けてしまうものです。

これがまさに、「思いついた場面をそのままつなぎ合わせたら、こうなる」、といういい例かなと思います。

 

これは一度、大まかな全体の流れを見ることで、個別のアイデアをうまくつなげられるようになります。

 

注:以下では宮崎吾朗監督の映画「ゲド戦記」のネタバレと、プロット修正案が含まれます。楽しみを大きく損なう可能性があるため、宮崎吾朗先生のファンであったり、この作品を楽しみにしている方は、以下は閲覧しないようにお願いします

 

その物語は、何を解決する物語なのか?

では実際に、以下でメインプロットを再構成してみましょう。

いつも私が言っていることですが、メインプロットを作る場合、その物語における「最も軸となる問題」を見つけることが必要になります。

いわゆる、「何を解決する物語なのか」ということですね。

これが、メインプロットを作る出発点です。

 

なら、「ゲド戦記」ではいろんな問題があるでしょう。

  • 主人公が心の闇を持っていること
  • 主人公が父王を刺してしまい、逃亡したこと
  • 敵である魔女が、世界の均衡を壊そうとしていること
  • 恋人役の少女(テルー)がさみしさを抱えていること

この中から、どれを主軸にするのか、ということですね。

 

どれを主軸にするかで、物語の全体像はがらりと変わります。

もし「心の闇」を主軸にすれば、主人公が心の闇と戦い、和解する成長物語になります。

「父王を刺して逃亡したこと」を主軸にすれば、逃亡劇で、真犯人を追ってゆくサスペンスになります。

「魔女が世界の均衡を壊そうとしていること」を主軸にすれば、主人公が悪と戦うヒーローものになります。

「少女がさみしさを抱えていること」を主軸にすれば、主人公がそれを癒やす恋愛物語になります。

 

メインプロットというのは、その「一番基礎になる流れ」のことです。

「メイン」だから、一つだけを選びます。

「全部入れたい」と思ったとしても、他はサブプロットとして入れるわけですね。

ちなみに全てメインプロットに詰め込んでしまうと、「ゲド戦記」のように、ごちゃごちゃな作品になってしまいます

だから面白い作品にしたければ、メインプロットの「軸となる問題」を一つに決めましょう、ということですね。

 

「心の闇」を主軸にメインプロットを再構成してみる

ここでは、「心の闇」を主軸として用いるとしましょう。

すると、テーマは次のような形で表現できます。

「心の闇を抱えた主人公の青年が、師匠との旅を通して、その問題を解決する物語」

すっごいシンプルな流れができました。

 

じゃあこれを元に、三幕構成で大まかな流れを作ってみましょう。

実は上記のテーマは、次のように表現できます。

「『根本的な問題』を持つ主人公は、『スペシャルワールド』を通して、その『根本的な問題』を解決する物語」

 

それを三幕構成に割り当てると、次のような流れになるものです。

  • 第一幕: 「根本的な問題」を持つ主人公が、「スペシャルワールドの問題」を抱えて、自発的に「スペシャルワールドの問題」の解決に取り組むことを決意する。
  • 第二幕前半: 「スペシャルワールドの問題」解決へ向けて力をつけつつ(もしくは目先の脅威から逃れつつ)、「スペシャルワールドの問題」と「根本的な問題」の部分的問題を解決してゆく。
  • 第二幕後半: 「スペシャルワールドの問題」へと挑み、その結果が出る。そして「根本的な問題」が判明する。
  • 第三幕: 「根本的な問題」へと挑み、全ての問題を解決する。

 

これを、「ゲド戦記」で当てはめてみましょう。

  • 第一幕: 「心の闇」を持つ主人公が、「師匠との旅」という問題を抱えて、自発的に「師匠との旅」の解決に取り組むことを決意する。
  • 第二幕前半: 「師匠の旅」の解決へ向けて力をつけつつ、「師匠との旅」と「心の闇」の部分的問題を解決してゆく。
  • 第二幕後半: 「師匠の旅」へと挑み、その結果が出る。そして「心の闇」という根本的な問題が判明する。
  • 第三幕: 「心の闇」へと挑み、問題を全て解決する。

 

全体の流れが、少しずつ見えてきました。

分かりやすくするために、ここでの「心の闇」というのは、「愛を知らないこと」としましょうか。

で、「師匠の旅」は、「滞在先の家族と一緒に過ごすこと」と「魔女を退治すること」で構成されているとします。

 

次に、個別の場面や設定が、その「心の闇(愛を知らないこと)」、「滞在先の家族と一緒に過ごすこと」、「魔女を退治すること」のどれに当てはまるのかを分類します。

すると、どの幕ではどの内容をメインに扱えばいいのか、「場面や設定を使う場所」が分かります。(ここはさらりと流しますが、ここが今回の肝となる部分です)

 

メインプロットを再構成する

それによって、次のようなメインプロットを導き出せます。

  • 第一幕:
    • (日常) 欠点を持つ主人公の日常。
      • 世界観と登場人物の説明。舞台は、剣と魔法がある中世ファンタジーな世界観。主人公は青年で、師匠と一緒に旅をしている姿が描かれる。
      • 主人公の持つ問題の説明。主人公は「心の闇」を持っていて、二重人格であること。普段は驚くほど優しく落ち着いた性格なのに、ひとたび人の醜い部分から脅威を得ると、「闇の心」に体を支配されて、容赦ない力で反撃・撃退してしまう。そういう「他者のため(優しさ、正義)」と「自分のため(暴力、征服)」という極端な二面性を持っている。
      • 実際に、主人公は盗賊などから狙われると、人格が変わって凶暴になり、情け容赦なく盗賊を殺し尽くしてしまう。師匠がそれを止める役。元の人格に戻ったら、主人公は「またやってしまった」と、闇の心を恐れている状態が描かれる。
      • 簡単に、師匠と出会った経緯の説明。主人公はエンラッド国の王子で、宮殿では「次期王として、他者のために生きねばならない」と英才教育を受けたこと。だが愛情をろくに受けておらずに、愛という感情が分からないで生きてきたこと。主人公は愛して欲しいがために、他者のためにひたすら自分を殺して生きる状態になったこと。
      • その結果、闇の心(別の人格)が生まれたこと。そんなとき主人公は、父王が「他者のためになれ」といつも言っているのに、他者を犠牲にして自分の地位や命を長らえているという、独善的な側面を見てしまう。それによって主人公は闇の心に支配されて、父王を刺してしまったこと。そして「貴方(父王)に王たる資格はない」と、父王から王の象徴である「王の剣」を奪い、逃げ出したこと。
      • その逃亡中に、師匠である魔法使いと出会い、助けられたこと。そこから師匠と一緒に旅をするようになったことが示される。
      • (ラストの前振り) 主人公は通りすがりの旅人から、「竜人」が出たことを知る。竜人とは、竜が傷つき魔力を失うことで、人として身を変えてしまった状態。「人として魔力を得ることで竜に戻ろうとしているから、強力な魔法の道具を持つ場合、奪われないように注意しろ」と言われる。
    • (冒険への誘い) 主人公たちは、新たな街にたどり着く。主人公が一人でいるとき、とある少女が奴隷の売人らしき暴漢たちから襲われているところに遭遇する。偶然にも巻き込まれた主人公は、心の闇に支配されて人格を変え、圧倒的な力で暴漢たちを退け、少女を助ける。
    • この少女が、恋人役の少女(テルー)になる。しかし少女は主人公の残忍な面を見てしまい、主人公に礼を言うこともなく逃げ去ってしまう。
    • 主人公は師匠と共に、街の郊外にある、師匠の知己となる婦人(テナー)の家へと身を寄せることになる。すると、そこには娘である少女がいる。
    • 主人公は師匠から、「婦人と少女は二人暮らしなので、ここでしばらく世話になる」と伝えられる。
    • (拒絶) 少女は主人公を嫌い、主人公とは口をきこうともしない。主人公も、そんな少女に居心地が悪くなり、師匠に「早く別の場所に行こう」と、その家に居続けることを拒絶する。
    • (メンター) ここで師匠から、状況と自分たちの旅の目的が示される。この世界は、均衡を崩しつつあること。それによって、人々の心がおかしくなってきていること。
    • また、主人公自身も心の均衡を崩していることを言われる。人格が入れ替わるのも、その象徴なのだと。ついでに、主人公が持つ「王の剣」についても説明を受ける。王の剣は、強力な魔力を持つ。主人公は、王の剣をさやから抜くことができない。だが、「心の均衡を得て、真の王になったとき、その剣が抜ける」と師匠から言われる。
    • その均衡を崩す原因として、この周囲で何かが起こっていること。師匠は大賢人の魔法使いとして、その原因を突き止めるために、この地に訪れたこと。
    • また、師匠から「主人公にとっても、この家で過ごすことがいいことだ」と言われる。「主人公に足りないものを、この家の人たちが与えてくれるだろう」と。
    • それでも主人公は、拒絶したままでいる。
    • (第一関門) その夜、主人公は悪夢を見る。それは心の闇が主人公を襲う夢で、主人公はいつもその悪夢に苦しめられている。
    • その日は特に、心の闇が残忍な方法で主人公を殺そうとしている悪夢になる。主人公は目が覚めても、夢と現実がごっちゃになってしまい、半狂乱で暴れてしまう。
    • そんなとき、師匠から言われて、婦人が主人公を抱きしめて安心させる。すると、主人公はすーっと楽になる。また、少女からも自発的に暖かい毛布を与えられて、優しさを受ける。そこから主人公は、少女が完全に主人公を嫌っているわけではないと分かる。
    • 主人公は不思議な安らぎを味わい、久しぶりにぐっすり眠って翌朝を迎える。そして主人公は「この家には、自分が欲していた何か(愛という感情)がある」と分かり、自発的にこの家にいることを決意する。
  • 第二幕前半:
    • 主人公は、「婦人の家で身を寄せつつ、師匠の手伝いをする」という新たな日々を送り始める。それによって、主人公は少しずつ、愛という感情を知ってゆく。ここは、サブプロットとして構築する
    • 主人公は、この家でも自分を殺して無理をしようとする。そして倒れそうになったところを、婦人から助けられて、「私たちは貴方が苦しむことを求めてはいない」といさめられる。婦人は、わがままを言えない主人公にわがままを言わせて満たしてあげる。それによって、主人公は初めて満たされた感激で涙を流し、「母親の愛情」を知る。
    • 主人公は街に出たときに、以前の暴漢から不意打ちを受けて捕まってしまい、奴隷として売られそうになる。それを、師匠に助けてもらう。その後、師匠と共に畑作りをしている時に、「世の中は優しさだけでは渡っていけない。力と知恵も必要だ」と言われる。そして畑仕事の厳しさを通して、「知恵とは自然の法則に従うこと。その知恵に力が伴えば、豊かな実りを得られる」と諭し主人公を守ることで、主人公は「父親の愛情」を知る。
    • いつでも強気で、主人公を拒絶する少女を見て、主人公は「あんなに強い少女なら、自分(主人公)なんか必要ないだろう」と思う。だから、少女が重労働で苦しんでいても、何も手を貸さずにいる。同時に、拒絶する少女を見ると、主人公はつい闇の心で対応してしまう。
    • しかしあるとき主人公は、少女が夕暮れの丘で一人たたずみ、さみしさでただただ泣いている姿を見てしまう。主人公は婦人から、「少女が身寄りがなく、奴隷として売られようとしていたのを、婦人に助けられた」という生い立ちを知る。少女は強くもなんともなくて、か弱い一人の女の子なんだと。
    • そこから主人公は少女に惹かれ、少女の前でも闇の心が出なくなる。だから、主人公は自発的に、さりげなく少女を助けるようになる。少女もまた、何も言わずに助けてくれる主人公に惹かれてゆく。こうして主人公は、「弱き人を守りたい」という愛の気持ちと、王としての資質(他人のためと、自分のための均衡)を得てゆく。
    • いつしか少女と打ち解けて、夕暮れ時に一緒に夕暮れを眺めるようになる。少女から「ずっと言えなかったけど、あのときは助けてくれて、ありがとう」と感謝される。ここで主人公は少女に、自分の生い立ちと、未だに「王の剣」を抜けないこと、自分がまだ未熟な人であることを語る。それを少女が励ますことで、二人は深い絆を結ぶ。
    • それと平行して、世界の均衡を崩そうとしている敵が判明してゆく。敵は魔女で、禁忌である「不老不死の魔法」を実現しようとしている。それによって、世界の均衡が崩れつつあることが分かってゆく。
  • 第二幕後半:
    • (ターニングポイント) 魔女が登場する。そして不老不死の魔法が完成間近だと示される。それが完成すれば、世界の均衡は大きく崩れると分かる。また、魔女は師匠と知己であり、師匠を憎んでいて、師匠の動きを先手を得て知る。一方で師匠は、そんな魔女の情報を仕入れるために長期外出することになる。主人公は、家に残される。
    • 世界の均衡が崩れ始めて、人の心が狂い始める。同時に、主人公に闇の心を刺激する出来事が重なる。以前の暴漢が主人公のことを知り、主人公が不在の間に、家の畑を荒らして帰る。また、婦人の薬を求めて訪れた二人のおばさんも、婦人の前ではへつらい、「子どものため」と薬を無償で譲ってもらったにもかかわらず、陰口をたたきながら去って行く。
    • その光景を見た主人公は、次第に闇の心に体を奪われてゆき、性格が反転してしまう。ただし、婦人や少女の前では、それを見透かされないように演技している。
    • そんなとき、暴漢たちが魔女の手下であることが判明する。そして主人公が一時的に不在になったときに、その暴漢たちが家へと押し寄せ、婦人を人質として連れ去って行く。少女が家に縛り付けられて、「大切な婦人を返して欲しくば、魔女のいる城に来い」と師匠宛に伝言を残している。
    • ついに闇の心に支配された主人公は、師匠の帰りを待たずに、少女の制止をも振り払い、魔女の城へと向かう。王の剣は未だに抜けないため、手近な別の武器を持って出る。
    • 主人公とは入れ違いで、師匠が家に戻り、少女から事情を聞く。それによって、師匠は主人公を追うようにして、魔女の城へと向かう。
    • (最後の晩餐) 主人公はついに、城へとたどり着く。魔女との決戦を前にして、主人公は一時の休息を取る。
    • 主人公は、師匠の言う「世界の均衡」を思い出す。だが、均衡とは何かを理解できない。
    • 闇の主人公は、後ろに「影(光の主人公)」がついてきていることを知る。だが、闇の主人公もまた、「俺だけで十分だ。お前は消えろ」と、その影の存在を受け入れられない。
    • (中盤の盛り上がり) 主人公が城へと乗り込み、魔女の前に立つ。闇の主人公は、暴力という力で魔女の手下を吹き飛ばして優勢になる。
    • だが、魔女から「お前の師匠は今、こんな風に遊んで快楽にひたっている」と、偽りの映像を見せられる。それによって主人公は、父親を刺したときと同じ感情を呼び起こす。そこで光の主人公が一瞬出てきて、「師匠はそんな人じゃない!」と闇の主人公に説得する。だが闇の主人公は、「うるさい!」と光の存在を条件反射的に拒絶して、師匠への信頼を一瞬失ってしまう。
    • その隙を見計らって、魔女は主人公の動きを封じる。同時に魔女は、魔法で「光の主人公」を分離して、幽霊と化して追い払う。
    • 魔女が主人公にとどめを刺そうとすると、師匠がその場に現れて、身を挺して主人公を守る。傷ついた師匠は倒れ、とらえられる。魔女は、「ついにハイタカ(師匠)に勝った」と、勝利を得て高笑いをする。
    • (報酬) 闇の状態の主人公は、自分が魔女から、自分の心の弱さを狙われたことを悟る。そして、「自分が、光の主人公と手を組んで師匠を信頼し続けていれば、こうならなかった」と、光の存在が大切なものだったと気づく。
    • だが既に時は遅く、主人公は光の心を失ってしまった。また、とらえられ、牢獄へとつながれる。師匠も婦人もとらえられる。主人公は自分が敗北して、大切なものを全て失ったと知り、絶望する。
  • 第三幕:
    • (帰路)師匠は、明朝に死刑にされると決定される。それによって主人公たちは、一時的な猶予を得る。
    • ただし師匠の死は、魔女による不老不死の魔法が完成することを意味する。世界の均衡を保つためにも、それだけは絶対に止めなければならない。
    • ここから、少女が動き始める。家に残された少女は異変を予感して、いても立ってもいられなくなる。そして、「王の剣」を主人公に届けるために、城へと向かおうとする。だが、城への行き方が分からない。
    • しかしそこで、幽体となった光の主人公が少女の前に現れて、少女を城へと導く。ここで、光の主人公もまた、闇の主人公と同じように、「闇の主人公と手を組んでいれば、こうはならなかった」と悔やんでいることを示す。
    • 光の主人公は少女を導いて、城へと侵入して、闇の主人公と再会する。少女は闇の主人公のかせを解放して、助ける。そして、王の剣を渡す。
    • 光の主人公と闇の主人公は、共にぎくしゃくする。だが朝が訪れ始め、魔女の手下が主人公の牢へと訪れる。光と闇の主人公は時間がないことを知り、自然と協力し合って手下をぶっ飛ばし、少女を伴い処刑場へと走る。
    • (クライマックス) ついに処刑の時が訪れる。処刑場では、師匠と婦人が今にも殺されようとしている。それを主人公が止めようとするが、影の主人公は、光の主人公と分離しているために、王の剣を抜くことができない。
    • 主人公は窮地に陥るが、それを少女が身を挺して助ける。それが魔女の逆鱗に触れ、ついに師匠と婦人、少女が、魔女によって今にも殺されようという状況になる。
    • そこで主人公は初めて、「自分はあの人たちを守りたい」という愛の気持ちに目覚める。そして、闇の主人公は、光の主人公に「今まですまなかった。お前が必要だ」と伝える。光の主人公もまた、闇の主人公に「僕も君を必要としている。君と手を取り、歩みたい」と伝える。
    • 光と闇の主人公は、一つに戻る。そして目覚めた主人公は、ついに王の剣をさやから抜き放つ。その力をもって、魔女を滅ぼす。
    • だが魔女は滅びる際に、主人公を道連れにするために、城を破壊する。そんなとき、少女が「王の剣を私に!」と叫ぶ。主人公は、信頼している少女に王の剣を投げ渡すと、少女は竜へと姿を変える。冒頭の竜人は、少女のことだったと示される。そして、竜へと姿を変えた少女につかまることで、主人公は城から脱出に成功する。
    • (エンディング) 魔女は滅び、魔女の城も崩れ去った。主人公は竜の姿をした少女と共に、平原へと降り立ち、愛を確認するかのように抱きしめ合う。また、師匠と婦人も無事だと分かる。
    • 主人公は、「世界の均衡」が何かを理解する。それは、自らの光と闇を共存させることなんだと。そして、それを伝えることが自分の使命なんだと分かる。
    • ここからエピローグ。竜へと戻った少女と共に、主人公は故郷エンラッド国へと戻る。そこで、刺した王は命を取り留めたことを知る。父王も皇后も「自分たちが主人公の苦しみに気づいてあげられなかった」と、主人公を責めることなく、主人公を許す。主人公は父王から認められ、王の剣を託される(父王は、王の剣を抜けない)。竜である少女も、主人公と友人になり、そして王の剣が持つ魔力で傷を癒やせるので、一緒にいることにする。そして主人公は人々から「竜王子」と愛され、愛する民のために動き始めるところで、エンディング。

 

整合性よりも、イメージを詰め込む方を優先すると、こうなる

……と、こんな流れを作れるでしょう。

今回は、宮崎吾朗監督のイメージをできるだけ没にしないように詰め込んだため、相当強引な流れにしています。

それでも、結構筋が通ってますよね。

 

なお、以下の部分は、メインプロットには無意味なので削除してもかまいません。(むしろ削除した方が、物語としては洗練されます)

  • 少女が竜になる設定
  • 魔女によって、主人公が光と闇に分割される流れ
  • 主人公が奴隷として売られそうになる部分
  • 近所の住民が薬を得てののしる場面

無意味なものは贅肉と同じ、ということですね。

 

特に、主人公が魔女によって光と闇に分割される流れは必要ありません。

もし分割するなら、最初から別キャラクターとして分ける方が分かりやすいでしょう。

すなわち、光の存在を主人公として、闇の存在を別キャラクター(相棒役)にするわけですね。

で、二人が協力することで、魔女を倒す……という形にすると。

それを「途中から分離する」としてしまうと、読み手を混乱させて、分かりにくい流れにしてしまうことになります。

 

それに、別に光の主人公が手引きしなくても、少女が主人公の元へと向かう動機は十分にあります。

なので、分離はほぼ無意味なんですよね。

実際に、上記プロットを見ていても、その部分で違和感を得た人が多いんじゃないかと思います。

 

少女が竜になるのも、恋愛要素を最後にぶっ壊してしまうことになるので、リスクが大きいですよね。

まあ、これはファンタジーを取るか、恋愛を取るかの違いでしかありませんが、英雄物語なら恋愛を取る方がよかったんじゃないかと思います。

伝記物にしたい場合は、ファンタジー優先(少女が竜になる展開)でいいかと思います。

 

まとめ

でもまあ、こういう英雄物語っていうのは、王道ですよね。

王子がいるけれども、決定的に欠けたもの(愛情とか力とか、勇気とか優しさとか)があると。

で、冒険の旅に出ることで、その欠けたものを埋めていく流れになるわけですね。

 

私は一昨日にDVDを見たんですが、ゲド戦記はメインプロットの整合性こそ致命的に欠けていましたが、それ以外はとてもいいクオリティでした。

逆を言うと、他をどんなに優れたものにしても、メインプロットで失敗するとこうなってしまうといういい例のようにも思います。

そういう点でも、メインプロットはしっかりと作っておくに越したことはないかな、と思います。

 

ということで、今日は「個別の場面やアイデアを、うまくつなぎ合わせる方法」ということで、お話ししてみました。

今日はここまで~。

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