今日は、未来のお話をしてみましょう。
「未来の漫画はどう作るのか」ということで、予想してみることにしましょう。
表情のあるイラストを、自動で作れる時代が来た!
興味深い記事があったので、ご紹介。
チェコ工科大学、動く人の顔にデッサン風、銅像風、油絵風といったフィルターに合成させフェイシャル・アニメーションを完成させるAIアルゴリズムを発表
見たら分かりますが、人の顔を取り込んで、他の写真や絵画、イラスト風に加工できる技術です。
これ、もう少し応用すれば、漫画にも適用できそうですよね。
未来の漫画家は、こうやって漫画を作る
すなわち、漫画家は、基本となるキャラクターの顔イラストを、複数の角度で描きます。
そして、作者はウェブカメラで、自分の表情を取り込みます。
すると、こんな風に画像処理技術によって、キャラクターがその表情をしているように調整してくれるわけです。
これは顔だけですが、体も可能でしょう。
作者は複数の角度で、体をパーツごとに描いておきます。
なら、ウェブカメラで自分がポーズを取るなり、デッサン人形にポーズを取らせるなりして認識させて、キャラクターの体を描画すると。
これなら、3Dを用いずとも、2Dグラフィックで自然な絵を実現可能になります。
背景は、今でも写真加工である程度はできるようになってますからね。
後は、素材の問題(特に室内の素材がないこと)さえなんとかなれば、うまくいきそうに思います。
漫画は「描く」から「作る」時代になる
すると、将来の漫画は、今とはがらりと変わった形で作られるかもしれません。
漫画は「描く」から「作る」時代になるようにも思います。
作者は、テンプレートとなるキャラクターの顔と体のセットを、複数の角度で描く。
後は、自分の顔やデッサン人形で、「絵を作っていく」わけですね。
なら、キャラクターのテンプレートをわざわざ自分が描く必要もなく、テンプレートをイラストレーターに発注することもできるでしょう。
すると、自分が望む漫画を、ド素人でもある程度作れるようになるわけです。
音楽業界でも、既にこういう変化がありました。
音楽は昔、音楽家が「演奏する」ものでした。
でも、シンセサイザーの発展によって、音楽を「作る」ようになったんですよね。
そして今では、楽器を演奏できない人でも、様々な音色を使って作曲、演奏、公開できるようになりました。
なので、圧倒的な効率化になりますし、敷居も低くなることでしょう。
今までの漫画の作者は、(ストーリー面を除けば)「絵を描けること」が条件でした。
でも、未来は「素材を集めて、加工して、仕上げる」という、監督のような立ち位置になると。
まあ絵についても、多少の修正は必要でしょうが、作者に求められる絵の才能が「違和感がある部分のみを手作業で修正する能力」だけになります。
これなら、多少の絵心があれば、なんとかなりそうな気もします。
大衆向けとニッチ向けで、二極化してゆく
すると当然、「誰もが漫画を作れる」ようになって、二極化することでしょう。
一つは大衆向けで、効率化に効率化を重ねた、「普通の人」が作ったメジャーでの大ブレイク作品。
もう一つはニッチ向けで、ちゃんと1コマ1コマを手で描く、まぁいわゆる今の漫画家スタイルです。
こういう時代の流れを見ていないと、足下をすくわれることになります。
私がよく言う例ですが、過去の駄菓子業界もこれと同じ動きでした。
機械化が進む前、駄菓子はお菓子職人が一つ一つ手で焼いていたわけです。
卵ボーロとかせんべいとか、一つ一つ手で焼いていたんですよ。
アメだって、一つ一つ手で切っていたわけです。
でも、機械化が進むにつれて、単純なお菓子ほど安価に作れるようになりました。
卵ボーロとかポテトチップス、せんべい、アメみたいな単純なものほど、機械が作るようになったと。
それによって、大衆向け駄菓子職人が一斉に職を失うことになるわけですが。
菓子業界は、今では「機械が作る、日常消費用の安価な駄菓子」と、「パティシエが作る、非日常用の高価なケーキ」に分かれています。
日常消費と、非日常消費で区分けされる
ただし、全てが機械に置き換わることはありません。
日常的に消費するもの(細切れ時間に見る、暇つぶしの漫画)ほど、自動化されて、ほぼタダで得られるようになります。
こういうのは、安ければ安いほどいいですからね。
で、これはヒット作を作った一部の作者やメーカーほど、大きな利益を得られるようになります。
でも、特別な日に使うもの(休日に楽しむものとか、趣味として味わうディープなもの)には、人はお金をかけて、しっかりとしたクオリティを求めます。
お菓子業界で言うと、誕生日ケーキに駄菓子を使う人はいませんよね。
スーパーやコンビニで売っているような大量生産っぽい安物ケーキも、なんか嫌でしょ。
そういう特別なものは、やっぱりしっかりとお金をかけて、贅沢なものにしたいわけです。
実際、町のケーキ屋さんを見てみると、分かります。
ケーキ屋さんの前にはボードがあって、「○○くん、おたんじょうびおめでとう」みたいに、その日に注文があったホールケーキの内容を書いていることがあるんですよ。
そういうのを見ると、小さな町のケーキ屋だったとしても、誕生日ケーキの注文数は相当あると分かりますから。
私たちのライフスタイルも、二極化していく
すなわち、日常向けの安価なお菓子と、非日常用の高価なお菓子で、二極化していると。
漫画を作りたい人でも、これからは「メジャー(日常消費)向け工業製品監督」になるか、「ニッチ(非日常消費)向けパティシエ」になるか、ということですね。
アニメもゲームも、全てのコンテンツ事業は同じようになっていくでしょう。
そして中途半端な立ち位置の人ほど、早く消えていくことでしょう。
私たちのライフスタイルも、似たようになっていくと思っています。
日常向けで、安く済ませる部分は安く手堅く。
でも、特別に味わいたい、自分らしい趣味や楽しみには、がっつりお金をかけて味わう。
「全てのクオリティを高く」という、中流で見栄を張るスタイルの層ほど、早く落ちぶれていくんじゃないかと思います。
まとめ
そんな風に、これからは今まで手作業でしかできなかったことが、より機械で作れるようになってゆきます。
なら、人間ももっとクリエイティブな方向に移ってゆく必要があります。
その「究極のクリエイティブなもの」というのは、「ビジョン」とか「イメージ」というたぐいのものでしょう。
機械化ができるのは、全て「目的に応じた、単調作業部分」ですからね。(この理由は、こちらの記事を参照:「変化は常にチャンスである、というお話」)
優れたビジョンやイメージを思い浮かべる人ほど、豊かになれる時代が来ることでしょう。
すなわち、夢を描くことができる人ほど、世の中に求められると。
今までは「夢物語なんか語らず、現実を見ろ」という時代でしたが、未来は「発展性のない現実ばかり語らずに、クリエイティブな夢を語れ」と言われるようになる。
そういう未来が来たら、すてきだな、と思ったりもします。
ということで、今日は「未来の漫画はどう作るのか」ということで、予想をお話ししてみました。
今日はここまで~。