今日は、クリエイティブなお話です。

ニッチは「客層がいないと売れない」じゃなくて、「客層を作る」という発想をする、というお話をしてみましょう。

 

「客層がいなければ売れない」という思い込み

お客が欲しい場合、メジャーを攻めるか、ニッチを攻めるかってありますよね。

で、このブログでは、ニッチを攻める方をメインに説明しているんですが。

 

その場合、ニッチでうまくいかない人が、とても高い頻度で陥っている思い込みがあるんですよ。

それが、「客層がいなければ売れない」ということですね。

「ニッチを攻めたい」とマイナーなジャンルを作って売っても、全然手にしてくれる人がいなくて、今までと比べても全く売れないわけです。

すると、ついこう思ってしまうんですよ。

「メジャー向けならお客がいるけど、ニッチ向けにすると、どうしてもお客の絶対数が限られてしまう。だから、どうしてもある程度はメジャー向けにしないと、お客を確保できない」……みたいに。

 

例えば「私は暴力的な殺し合いもので、BL的な要素が加わった女性向けの作品を作りたい」とかあっても、なかなかそういう狭い好みを持つお客はいないんですよ。

「だいたい殺し合いものは男性向けで、BLは女性向けだから、かみ合わないよ」とか思うものですよね。

だから、「BL要素を削って男性向けにするか、暴力要素を削って女性向けにしなきゃ、誰も手にしてくれない」とか思うわけです。

すなわち、「ある程度メジャー向けにしないと、好きなことでは売れない」と感じると。

 

ニッチを攻める場合、そうじゃないんですよね。

ニッチは「客層がいないと売れない」と発想するのではありません

それはメジャー向けの思考です。

ニッチは「客層を作る」という発想をします

すると、ニッチでは「ジャンルを広くする」よりも、「世界観を仕上げる」のが重要だと分かります。

 

メジャーは市場を奪い合い、ニッチは新たな市場を作る

固定客を作る場合、メジャーとニッチでは戦略が変わります。

メジャーは「既にニーズがあると分かっている市場」に作品を投下して、利益を得ます。

いわゆる、メジャーは「市場を奪い合う」ということですね。

だから、「客層がいない場所は売れない」となります。

 

一方でニッチは独自のものを作ることで、新たな市場を作ります

その場合、「お客がいるかどうか」なんて重要ではありません。

そもそも今までにない市場なので、それを求める顧客層なんかあるわけがないんですよ(笑

全てのニッチでは、お客もいませんし、そういうジャンルそのものもありません。

当たり前と言えば当たり前ですが、だからこそ「新たな市場(客層)を作る」という発想がベースとして必要になります。

 

世界観が仕上がっているから、お客ができる

その場合に必要なのが、「世界観の完成度」です。

世界観が完成されていればいるほど、新たなお客がやってきます

まぁそれは当然で、「こんな世界もあるんだ!」、「この世界観も面白い!」と驚いて感激すると、人に言いたくなりますよね。

それはインパクトがあるほど、「ねえねえ、聞いてよ。こういうのがあって、すごかったんだ」って言いたくなるものです。

すなわち、世界観の完成度が高いから、人に伝えたくなって、新たなお客ができるわけです。

 

なので、ニッチな世界では、「お客がいないから売れない」じゃないんですよ。

本当の問題は、「世界観が仕上がっていないから、誰も理解できないし、誰も伝えたくならない」ということです。

 

世界観には優劣がない

で、世界観には優劣がありません

あるのは、「その世界観がどれだけ完成されているか」だけです。

哀しい世界観だろうが、明るい世界観だろうが、その世界観を仕上げれば、独自のものになります。

「哀しい世界観が優れている」とか、「明るい世界観が優れている」なんてことはありませんよね。

 

そして、もしその世界観が完成されていなければ、お客からは必ずメジャーなものと比較されて、メジャー的な要素を押しつけられます。

だって、普通の人は「完成された世界観」なんて見ることができませんからね。

「完成された世界観」を見るのは、いつだって作者が一番最初です。

 

例えば、よく作家の入門者が言うことで、「シリアスばかり書きたいけど、これだと売れない。だから笑いを入れないといけないけど、お笑いは苦手で好きではない」とかありますよね。

それは、「笑いを入れれば解決する」という問題ではありません。

それはメジャー向けになるだけで、その意見を取り入れてばかりいたら、競争力がなくなって独自性は失われます。

ニッチ向けの場合、「シリアスな世界観が仕上がっていないから、読み手からメジャー的な要素(笑いの要素)を押しつけられる」と言えます。

だから、ニッチを目指す作者ほど、世界観を仕上げる必要があるんだと。

 

客層がない」ジャンルは、ニッチには有利になる

すると、「客層がない」というジャンルは、ニッチを攻める人にとっては、不利などころか、競合がいない最高の場所だと分かります。

だって、そこでは誰もそのジャンルでは世界観を仕上げていないんですから。

ならば、少し世界観を仕上げれば、ぐっとお客が入ってくるチャンスがあるわけです。

 

実際、個性のある人が「普通の少女漫画」という程度の世界観で勝負すると、その世界で勝ち抜くのは並大抵のことではないと分かります。

世の中には、そういう「普通の少女漫画」なんて山ほどありますからね。

それでも売れればいいですが、描いていても面白くありませんし、競争に巻き込まれて苦しむことが多くなります。

逆に、誰もしていないようなニッチな世界観ほど、開拓し放題です。

すると、世界観を仕上げれば仕上げるほどお客が増えて、しかも競合がいなくて、自分だけの市場を独占できるようになります。

 

すると、思い切ってニッチを攻められるようになるんですよ。

というのも、売れるためにブレーキをかけるのではなくて、むしろフルスロットルでぶっ飛ばせるようになるからですね。

もう、「好きなことを思いきりしていい」とリミッターを解除した時、そのモチベーションはすごいですからね(笑

だから、勢いよく攻めることができるわけです。

そのプラスの勢いで作品をどんどん作り、開拓していく、という流れです。

 

まとめ

そういう風に、ニッチで攻める場合は、「客層がいないと売れない」じゃなくて、「客層を作る」という発想をするといいでしょう。

これが理解できなければ、必ずメジャー向けの競争世界に巻き込まれてしまいます。

メジャー向けとニッチ向けは、戦略が正反対ですからね。

特に、「私はこれを作りたいのに、できない」という独自性を持つクリエイターほど、この「客層がいないと売れない」という思考の罠にはまると、危険なことになります。

 

すると、例えば冒頭の「暴力的な殺し合いもので、BL的な要素が加わった女性向けの作品を作りたい」という人でも、それは両立できることだと分かります。

すなわち、その世界観を仕上げればいいわけです。

実のところ、そういう人が本当に描きたいのは、「時に仲間になり、時に敵対する、荒々しく不器用な男性同士の関係性」だったりするんですよ。

そんな風に一つの世界観にまとめられると、その世界観を仕上げることで、その客層を作れます。

すると、ファンもできて、「この人はこういう関係性を作るのがうまい」と、独自のポジションを得られると分かります。

 

ニッチとは、そういう戦略のことですね。

あるものを奪うのではなくて、ないところから新たに創造する、という発想です。

こういう発想があると、競争に疲れることもなく、大好きなことでファンを得て、収益にできるんじゃないかと思います。

 

ということで今日は、ニッチは「客層がいないと売れない」じゃなくて、「客層を作る」という発想をする、というお話をしてみました。

今日はここまで~。

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