今日は、作家向けというか、ストーリーを簡単に作りたい人向けのお話です。
今日は、「即興でキャラ設定から感動展開を作る方法」ということでお話ししてみましょう。
最初に言っておきます。
今日は、リミッターを外して書きすぎました。
今回の内容は、通常の記事の4倍ぐらいの超長文なので、ご注意ください。
短時間で一本のストーリーを求められた! どうしよう!?
「やばい、48時間以内に、サブキャラのおまけストーリーを1本作らなきゃいけなくなっちゃった」
「ドラマCDで脇役をメインにした物語を作らなきゃ! でも作家に発注している時間的余裕がない!」
「擬人化キャラの設定を元に、一つストーリーを作らなきゃいけなくなった。どうしよう?」
「TRPGで、即興で感動展開を作りたい。でもどうすれば作れるんだろう……?」
「ストーリー作りは専門じゃないけど、簡単な物語が一本欲しい。キャラ設定は作れる」
こんな風に、キャラ設定を元に、短時間で一本のストーリーを求められることって、たまにありますよね。
……いや、ないかもしれませんが(笑
今回はそんな「時間がないし、ストーリー作りも得意ではない」という人向けに、即興でキャラ設定から感動風物語を作る方法を説明しましょう。
これはキャラ設定さえあれば、その設定を元に、簡単に、でもある程度ちゃんとした物語を構成できるようになります。
どちらかというと「作家ではないけれども物語を作りたい」という人向けですが、作家さんでも「即興で一本、物語を作る」という場合に、この作り方は使えるかと思います。
即興で、キャラ設定から感動展開を作る方法
じゃあ実際に、「即興で、キャラ設定から感動展開を作る方法」を以下で示します。
次の7つの設定を作り、後ほど説明する王道展開に当てはめることで、キャラ設定からすぐに物語を作ることができるようになります。
- 主人公の性格的欠点
- 主人公が絶対にしようとしないこと
- 主人公がその性格を持つようになった、過去のエピソード
- 主人公が失った、大切なもの
- 「失った大切なもの」の代替品
- 事件の黒幕
- 黒幕の脅威を退ける力を持つ、人物やアイテム
じゃあ、以下でそれぞれの設定を解説してみましょう。
1. 主人公の性格的欠点
まずは、物語の主人公となるキャラクターを決めて、そのキャラ設定を用意します。
で、主人公の設定から、最も特徴的な「性格的欠点」を抽出しましょう。
「冷たい」とか「完璧主義」、「臆病」、「残虐嗜好」、「危険を冒さない」、「男嫌い」、「女好き」、「依頼を断れない」、「あまのじゃく」、「協調ができない(わがままに行動する)」、みたいに、何でもかまいません。
これは、長所でもかまいません。(長所も見方を変えると欠点になりますので)
2.主人公が絶対にしようとしないこと
で、その欠点を元に、主人公が「絶対にしようとしないこと」を作りましょう。
主人公が「冷たい」という欠点を持つなら、「優しくすること」とか「励ますこと」、「寄り添ってあげること」、「助けること」などになるかもしれません。
「完璧主義」という欠点を持つなら、「約束を破る」、「決めたことを覆す」、「わざと欠点を残す」などがあるかもしれません。
そんな「絶対にしようとしないこと」を、一つ適当に決めましょう。
3. 主人公がその性格を持つようになった、過去のエピソード(過去の傷)
次に、「主人公がその性格を持つようになった、過去のエピソード(過去の傷)」を作ります。
そもそも、普通に育っていれば、そういう変な性格を持たないものです。
過去に何らかのきっかけがあったから、そのような性格になった、ということですね。
過去のエピソードは、出来事であれば何でもかまいません。
「引っ越しをした」とか、「笑われた」、「ケガをした」、「ケンカをした」、「事故に遭った」、「新たな土地に訪れた」、「敵が襲ってきた」、「他の事件に巻き込まれた」、「出会った」、「別れた」、「ひとりぼっちになった」、「失敗した」、「成功した」、「苦しんだ」、「哀しんだ」、「楽しんだ」、「傷ついた」、「倒れた」、「助けた」……もう何でもかまいません。
「夏休みの間、この土地に訪れた」とか、「偶然、こういう人と出会った」、「こういう傷つく出来事があった」とか、そういうものをきっかけに、適当に作りましょう。
ただし、この事件(過去のエピソード)は、必ずバッドエンドで終わります。
主人公は一時的に、最高の幸せを味わうことでしょう。
大切な仲間、もしくは大切な恋人を得て、心から信頼し合い、わかり合えるかもしれません。
ですが、最終的にその幸せを失ってしまいます。
バッドエンドで終わったからこそ、主人公はそんな性格的欠点を持つようになった……という形にするわけですね。
4. 主人公が失った、大切なもの
そして、過去のエピソードを通して、「主人公が失った、大切なもの」を設定します。
これは、人でもものでも、何でもかまいません。
人の場合、両思いの恋人でも片思いの人でも、幼なじみの友人でも、両親でも兄弟でも何でもOKです。
ものの場合、自分にとっての宝物だったり、思い出の品、形見、もらうはずだった大切なプレゼント、誰かに与えるはずだったプレゼント、誰かを助けるためのアイテム、誰かを倒すための武器やアイテムかもしれません。
主人公は、過去のエピソードを経ていったんバッドエンドを迎えることで、その大切なものを失ってしまうことになります。
だから、物語冒頭では、主人公は「それが欲しい」、「それを取り戻せたら、どれだけ幸せだろう」と切に願っている状態になります。
5. 「失った大切なもの」の代替品
で、「失ったもの」の代替となる人物やものを作ります。
「代替品」と表記していますが、人物の場合も多いです。
また、「失ったもの」と「代替品」は別のものではなく、同一のものになる場合もあります。
これが、恋人役になったり、主人公にとっての「大切な、守るべき対象」になります。
これを、物語序盤で登場させる流れになります。
6. 事件の黒幕
「事件の黒幕」は、過去のエピソードにおいて、バッドエンドとなる決定的な要因をもたらした、黒幕となる人物になります。
この黒幕を作ることによって、事件を再現できて、問題を解決できるようになります。
これは、誰を設定してもかまいません。
敵対する人物でも、恋敵でも、恋人役でも、友人でも家族でもメンターでも、誰でもかまいません。
また、「黒幕」とは言っていますが、主人公はその人物に敵意を持つ必要はありませんし、黒幕も主人公に敵意を持たないこともあります。
まあ分かりやすく構成したい場合、黒幕も「主人公の大切なもの」を欲していて、力ずくで奪うような敵にするといいでしょう。
主人公は、力で黒幕に幸せを奪われてしまうわけですね。
7. 黒幕の脅威を退ける力を持つ、人物やアイテム
次に、「黒幕の脅威を退ける力を持つ、人物やアイテム」を作ります。
これは誰でもかまいません。
この人物やアイテムは、黒幕の野望を滅ぼすことができることになります。
なので、最終的に主人公は、「絶対にしようとしないこと」をすることで、この力にアクセスできるようになり、事件を解決に導きます。
7つの設定を元に、物語を組み上げる
なら、これら7つの設定を元に、以下のような流れで物語を展開できるようになります。
- 第一幕:
- (日常) 欠点を持つ主人公の日常説明。
- 冒頭で、必要に応じて過去のエピソードを示す。主人公は最高に幸せなひとときを過ごしていたけれども、それを失ってしまったこと。ここは夢や回想として、部分的にチラ見せすることが多い。(省略してもOK)
- 世界観の説明と、主人公の紹介。主人公の日常を示す。
- 「性格的欠点」を持つことで、日常をやり過ごしている風景の説明。ただし、周囲からはその欠点を煙たがられていたり、「その性格、直せ」と言われていることが多く、実際にデメリットが多いことを示す。
- 主人公の「絶対にしようとしないこと」の説明。それをすれば人から喜ばれる状況でも、主人公はそれをしない。周囲からは「なんでしないんだよ」と非難されることもあるが、主人公はなぜか、今までずっと絶対にそれをしようとしなかったことの説明。
- 主人公には、切に欲しているものがあることの説明。それが、「失った大切なもの」を再び得ることになる。だけど多くの場合、主人公はずっとそれが得られずにいて、既にあきらめかけている状態になる。
- (冒険への誘い) 主人公の前に、「失った大切なもの」の代替品(以下では「相手」と表記)が登場する。相手は恋人役であったり、仲間やアイテムとなり登場する。既知の人物の場合、初めて相手をその対象として意識する出来事が起こる。
- 主人公は驚き、それが、自分がずっと欲していたものになりうると分かる。
- しかし相手は何らかの問題を抱えていることが分かる。そして主人公が「絶対にしようとしないこと」をすれば、その問題を解決してあげられることが分かる。時に、周囲から「それをしてあげろよ」とか、もしくは相手から「それをして」と促されることもある。
- (拒絶) だが主人公は、それをすることを拒絶する。過去の傷があることで、「もう二度とあんな思いは味わいたくない」と、主人公は拒絶する。過去の傷を忘れている場合、主人公は自分でも分からないが、強く拒絶することになる。
- (メンター) 友人や知人など、メンター(状況解説をする師となる人物)が登場して、主人公が置かれた状況が示される。
- 主人公は性格的欠点を持つことで、デメリットが多いこと。相手に「絶対にしようとしないこと」をしてあげることで、主人公は欲しいものを得られること。そしてデメリットも改善できることが示される。
- だけど、主人公は拒絶したままでいる。
- (第一関門) あるとき、相手が何らかの危機に陥ってしまっていると分かる。それは、主人公が「絶対にしようとしないこと」を少しでもしてあげると、助けられる状況になる。
- 相手が本当に苦しんだり哀しんでいる姿を見ることで、もしくは状況的にそれをせざるを得ないことで、主人公は「絶対にしようとしないこと」をせざるを得なくなり、相手を助ける。
- それによって相手と近づくことになり、主人公は「失った大切なもの」を再び得ることができると分かる。主人公は自らの意思、もしくは成り行きで、「失った大切なもの」を再び得る方向に動き始めてしまう。
- (日常) 欠点を持つ主人公の日常説明。
- 第二幕前半:
- 相手と一緒に時間を過ごすようになった、新たな日常が描かれる。相手と新たな接点が生まれて、より多くの時間を共にするようになる。
- 過去のエピソードをそのまま繰り返すかのように、相手と一緒に時間を過ごすことになる。同じような出来事が起こり、同じように困難が起こり、同じように乗り越えてゆく。それによって、二人は絆を結んでゆく。主人公、もしくは相手が少しずつ、「こういうことがあったな」と過去を思い出してゆくこともある。
- この場合、主人公は「絶対にしようとしないこと」を小さくすることで、相手や自分に降りかかる危機を助けてゆくことが多い。
- この部分は、適宜適当なエピソードを交えて作るとよい。ダイジェストで、短く簡単に済ませてもよい。
- また、過去のエピソードには、黒幕がいることが判明してゆく。そして黒幕は、過去と同じように再び悲劇を起こそうとしていることが分かる。同時に、主人公が黒幕を対処すれば、問題解決ができると分かってゆく。
- 「黒幕の脅威を退ける、力を持つ人物やアイテム」があるという前振りをしておく。だけど、主人公はその人物やアイテムの力を発揮できない状態になる。主人公が「絶対にしようとしないこと」をすることで、その力を発揮できるとほのめかしておく。(読み手に明快にそれを示さないと、緊張感の高いハードな物語になる。読み手に明快に示すほど、ソフトな物語になる)
- 第二幕後半:
- (ターニングポイント) 過去のエピソードをそのまま繰り返すかのように、黒幕が動き始め、主人公から相手を奪おうとし始める。ただし今回の規模は、過去のものよりも一段と大きくなっていることが多い。もし解決できなければ、主人公は生き続けることができないほどの、致命的な傷を負うことになりやすい。
- 主人公は「絶対にしようとしないこと」をしようと願うが、勇気が出せずにできない。その結果、どんどん状況は悪化してゆく。主人公は他の手段で劣勢を立て直そうとするが、ほとんど甲斐なく終わる。
- (最後の晩餐) ついに、黒幕との決戦を前に、その前夜を迎える。主人公は相手と共に、今までの関係でいられる最後の時間を過ごしてゆく。そして、思い残すことがないように、今の関係でできることを全て済ませておく。
- (中盤の盛り上がり) バッドエンドを回避するための、黒幕との戦いが始まる。主人公は力で黒幕を変えようとして、切り札をどんどん使ってゆく。
- だが黒幕から力の反撃を受けることで、敗北してしまう。
- (報酬) 主人公の敗北が決定して、主人公は絶望する。そして、主人公にとっては世界が終わるかのような苦しみを味わい、悲劇を再び起こしてしまったことに涙をする。
- ここまでで、「主人公がその性格を持つようになった、過去のエピソード」と、「主人公が失った、大切なもの」を読み手に示しておく。
- 同時に、主人公は「自分の幸せよりも、相手の幸せの方が大切だった」と知ることになる。だが、それももはや遅いと分かる。
- 第三幕:
- (帰路) 敗北したかのように見えた主人公だが、完全な敗北決定まで一刻の猶予があると分かる。解決までのタイムリミットが設定されて、主人公は最終決着に向けて動き始めてゆく。
- ここで主人公は、相手との関係が変化することが多い。主人公は、自分よりも相手を大切にしてゆく。それによって、相手との関係がぎくしゃくすることになる。
- (クライマックス) ついに、タイムリミットが訪れる。黒幕との最終決戦を迎えて、主人公は最初こそ力で戦おうとするかもしれない。
- だが、やはり力ではかなわないと分かった主人公は、力で戦うことを手放す。そして、「絶対にしようとしないこと」をすることで、「黒幕の脅威を退ける、力を持つ人物やアイテム」の力を発動する。
- それによって黒幕の目的を阻止して、黒幕の脅威を退け、問題を解決する。
- (エンディング) 冒頭のような日常が繰り返される。だけど、一つだけ変わったことがある。それが、主人公が性格的欠点をなくして、「絶対にしようとしないこと」ができるようになったということ。
- 主人公は相手との絆を結び、深い関係を築いて、新たな日々を生き始めるところでハッピーエンド。
……と、こんな流れになります。
恋愛物語での作成例
例えば、以下のような内容で、恋愛物語の作成例を見てみましょう。
ここでは、主人公は普通の少女、恋人役として青年がいて、その青年と恋をするような流れにしてみます。
- 主人公の性格的欠点: 冷たいこと
- 主人公が絶対にしようとしないこと: 相手に自分から好意を伝えること
- 主人公がその性格を持つようになった、過去のエピソード: 幼い頃に、恋人役の青年と出会ったこと。だけど、好意を伝えきれずに、青年はお金持ちの女の子の許嫁にされてしまい、引き離されてしまったこと。
- 主人公が失った大切なもの: 恋人役の青年
- 「失った大切なもの」の代替品: 恋人役の青年(本人)
- 事件の黒幕: 恋敵の女の子(女子生徒)
- 黒幕の脅威を退ける力を持つ、人物やアイテム: 青年の両親と、女子生徒の両親
これを当てはめると、次のような流れにできます。
- 第一幕:
- (日常) 欠点を持つ主人公の日常説明。
- イントロで、主人公が夜に夢を見る。幼い頃、好きだった青年に告白できずに、男の子が高級車に乗せられて、離ればなれになってしまう場面。バッドエンドを味わって、目が覚める。(省略してもOK)
- 世界観の説明と、主人公の紹介。学園もので、主人公は普通の高校生の少女。
- 主人公は、「冷たい」という性格的欠点を持つことが示される。周囲からは「冷たい人」とののしられているが、冷たく生きることで困難を乗り越えていることが分かる。
- 主人公は、「相手に自分から好意を伝えること」という「絶対にしようとしないこと」を持つことの説明。いじめられているクラスメイトの子を助けるが、その子と友達になりたくても、どうしても好意を伝えられない。結果、冷たく突き放してしまい、誤解され、落ち込んでいる姿が描かれる。
- 主人公は「さみしい」と感じていて、理解してくれる人を欲していることを示す。だけど主人公はずっとそれが得られずにいて、既にあきらめかけている状態になる。
- (冒険への誘い) 主人公の前に、恋人役の青年が登場する。そして主人公は周囲から誤解されて責められているところを、青年にかばってもらい、助けられる。
- 青年は主人公の気持ちを理解して、「つらかっただろう」、「主人公は優しい人だな」と語る。世界に一人だけ自分を理解してくれる青年に対して、主人公は「この人こそ、自分が求めていた人だ」と分かる。同時に、主人公は青年が「幼い頃に離ればなれになった人だ」と分かる。
- (拒絶) だけど、青年は主人公との昔の出来事を忘れているようで、主人公は過去のことを言い出せない。すると主人公は急に臆病になり、今までのように冷たくあしらって、自分から青年を突き放してしまう。
- (メンター) 主人公を理解する友人がメンターとして登場して、主人公が置かれた状況を示す。
- 主人公は「冷たい」という性格的欠点を持つことで、孤高に生きることができるが、誤解されることが多いこと。だけど青年が現れた今、青年に「自分から好意を伝えること」で、主人公は本当に欲しい「わかり合えること」が得られると示される。
- だけど、主人公は拒絶したままでいる。
- (第一関門) あるとき、青年が許嫁との間で問題を抱えていることが分かる。青年は、許嫁であるお金持ちで才色兼備の女子生徒から逃げていて、主人公がそれを助ける。
- そして主人公は、青年から「女子生徒とは婚約したくない」という事情を語られる。主人公は、青年が心から「女子生徒との婚約」という呪縛に苦しんでいると知る。
- 主人公は冷たく強がりながらも、それでも本気か冗談か、「なら、私と付き合えばいい」と、自らそれとなく好意を伝える。それによって、婚約解消できるんじゃないかと。
- 青年は、なぜかそれを受け入れてしまう。そして主人公は結果として、青年と再び恋をする方向に動き始めることになる。
- (日常) 欠点を持つ主人公の日常説明。
- 第二幕前半:
- 主人公が青年と一緒に時間を過ごすようになった、新たな日常が描かれる。主人公は、青年の女子生徒との婚約を破談に導くために、青年に協力してゆくことになる。
- 過去のエピソードをそのまま繰り返すかのように、主人公は青年と一緒に時間を過ごすことになる。同じような出来事が起こり、同じように困難が起こり、同じように乗り越えてゆく。それによって、二人は絆を結んでゆく。青年は少しずつ、「こういうことがあったような」と過去を思い出してゆく。
- ためらう青年に、主人公は自分から青年を強引に誘うことで、青年を助けてゆく。同時に主人公も、青年から助けられ守られることで、互いに絆を深めてゆく。
- 過去に青年が別れたのは、女子生徒が命令してそうさせたのだと判明してゆく。すなわち、黒幕は女子生徒なのだと分かってゆく。
- 一方で青年の両親と女子生徒の両親は、青年の意思を尊重していることが分かってゆく。これが解決の前振りになる。
- 第二幕後半:
- (ターニングポイント) 過去のエピソードをそのまま繰り返すかのように、女子生徒が強引に青年と婚約しようとする。ただし今回は本当に婚約することになってしまうので、もし解決できなければ、主人公は世界で唯一の理解者を永遠に失うことになる。
- 主人公は青年に対して本気で好意を持っていることを伝えたいが、勇気が出せずにできない。その結果、どんどん状況は悪化してゆく。主人公は他の手段で劣勢を立て直そうとするが、ほとんど甲斐なく終わる。
- (最後の晩餐) ついに、青年が決断をする、その前夜を迎える。主人公は青年と共に、今までの関係でいられる最後の時間を過ごしてゆく。そして、今の関係で青年に対してしてあげられることを、全てしてあげている。
- (中盤の盛り上がり) 青年と女子生徒の婚約を回避するための、女子生徒との戦いが始まる。ここでは両親を含めた食事会に、主人公が乗り込むことにする。
- 主人公は持ち前の冷徹さを用いて、力で女子生徒を陥れようとする。だけど女子生徒からお金の力、人脈の力、才能と地位や名誉の力によって反撃され、結果として敗北してしまう。
- (報酬) 主人公の敗北が決定して、絶望する。そして、主人公にとっては世界が終わるかのような苦しみを味わい、悲劇を再び起こしてしまったことに涙をする。
- 同時に、主人公は「自分の幸せよりも、青年の幸せの方が大切だった」と知ることになる。だが、それももはや遅いと分かる。
- 第三幕:
- (帰路) 敗北したかのように見えた主人公だが、完全な敗北決定まで一刻の猶予があると分かる。「互いの両親が認めるまで」というタイムリミットが設定されて、主人公は最終決着に向けて動き始めてゆく。
- ここで主人公は、青年との関係が変化する。主人公は、自分よりも青年を大切にしてゆく。驚くほど素直な主人公に、青年は戸惑い、関係がぎくしゃくしてしまう。
- (クライマックス) ついに、タイムリミットが訪れる。女子生徒との最終決戦において、主人公は最初こそ冷徹さで戦おうとするかもしれない。
- だけど、自分の過ちを知った主人公は、冷徹さで戦うことを手放す。そして、素直に青年に「貴方が好きです」と伝える。主人公が青年との過去を語ると、青年も実は過去の全てを最初から思い出していることを伝える。そして青年も、「主人公がそれを覚えていてくれたか不安だった。実は、ずっと主人公が好きだった」と、その告白を受け入れる。
- それが、青年の両親と女子生徒の両親の気持ちに触れて、「青年の意思を尊重しよう」という結末になる。女子生徒はそれぞれの両親からたしなめられて、敗北を認めて青年を支配することをあきらめる。
- (エンディング) 冒頭のような日常が繰り返される。だけど、一つだけ変わったことがある。それが、主人公が冷徹さをなくして、素直に好意を伝えられるようになったということ。
- 主人公は青年との絆を結び、新たな友人も作り、輝かしい日々を生き始めるところでハッピーエンド。
まとめ
こんな感じで、一本の物語を作ることができます。
この作り方のコツは、「黒幕」と「黒幕の脅威を退ける、力を持つ人物やアイテム」を用意することです。
そして、「黒幕の脅威を退ける、力を持つ人物やアイテム」を「主人公が絶対にしようとしないこと」で力を発動する、ということで、感動を作り出しています。
実はこういう構成は、結構多いんですよ。
例えばバトルものやTRPGの場合、黒幕をラスボスにして、ラスボスの力を無効化できるキャラやアイテムを別に作っておくといいでしょう。
そうすることで、戦いを劇的にできて、自然な解決にできるかなと思います。
TRPGの場合、以下の担当がそれぞれの内容を作るといいでしょう。
- 主人公の性格的欠点: プレイヤーが設定、全員に公開
- 主人公が絶対にしようとしないこと: プレイヤーが設定、全員に公開
- 主人公がその性格を持つようになった、過去のエピソード: プレイヤーが設定、最初は非公開(プレイヤー本人とGMだけが知る)、物語の進行によって公開してゆく
- 主人公が失った大切なもの: プレイヤーが設定、最初は非公開(プレイヤー本人とGMだけが知る)、物語の進行によって公開してゆく
- 「失った大切なもの」の代替品: GMが設定
- 事件の黒幕: GMが設定
- 黒幕の脅威を退ける力を持つ、人物やアイテム: GMが設定
……今日はだいぶ長い説明になってしまいましたが。
それなりに普遍的な構成にしているので、役立てられるかと思います。
ということで、今日は、「即興でキャラ設定から感動展開を作る方法」ということでお話ししてみました。
今日はここまで~。