今日は、クリエイティブなお話です。

「まねされたらどうしよう」という思いへの対処方法について、お話ししてみましょう。

 

制作中に、制作過程を公開する方がいいのか?

こういう質問があったので、ご紹介。

製作物の製作過程は公開したほうが良いのでしょうか?

実際に完成した後は動画・記事という形で、完成までの道のりを余すことなく発表をするつもりです。

しかしリアルタイムでの製作公開となると同じものを作っている人に技術を盗られて先を越されてしまうかもしれない
という不安があるので未完成状態での進捗は仲間内で留めているのですが・・・。

 

制作中に、進捗を一般公開した方がいいのかどうか、ということですね。

これって、作っている人からすると、これってすっごいあるあるでしょ(笑

「今作っている作品について、語りたい。でも、コンセプトとか売りの部分をまねされたらどうしよう」みたいに思うことって、ありますよね。

 

新しいことをしている人ほど、まねをされることに不安を感じる

新しいことをしている人ほど、こういう不安を感じるんじゃないかと思います。

だって周囲に先を越されたら、せっかく今まで地道に作ってきたものが、全部台無しになりますからね。

私自身も、よく「せっかくこういう新規性のあるものを作っているのに、他の人やチームに先を越されたら嫌だなぁ」みたいに感じますからね。

「できることなら、先頭を走りたい」というタイプですよね(笑

 

じゃあ、どうすればいいのか。

結論から言うと、「どっちでもいい」じゃないかと思います(笑

それは、先に公開することでデメリットもありますが、メリットもあるからですね。

 

3つの「まねをする人」のタイプ

まねをされる相手には、次の3つがあります

  • 二匹目のドジョウを狙う人(追随者):売れたものをまねするタイプ
  • ファンの人たち:競合にはならないタイプ
  • 同業者:制作技術をまねるタイプ

 

で、この3つを考えると、メジャー向けにしたい場合は隠す必要があると分かります。

でも、ニッチを目指す限りにおいては、さほど考慮しなくてもいいようにも感じます。

 

二匹目のドジョウを狙う人は、成果が出たものをまねする

本当にまねをする人(二匹目のドジョウを狙う人)というのは、既に成果が出たものをまねしようとします

そういう人は、コンセプトとか技術の段階でまねをすることはありません。

彼ら二匹目のドジョウを狙う人たちは、「短期間で、確実に売れそうなもの」しか手を出さないからですね。

だから、成果が出ていない状態であれば、少々出したところで問題はありません。

しかも、ニッチであればあるほど長期で収益を回収することになるので、ニッチになるほど二匹目のドジョウを狙う人は少なくなります。

 

で、たまにコンセプト段階で、「これはすごい!」、「期待大だ!」と、一般に広がることもあります。

すると、そういう二匹目のドジョウを狙う人は、それをまねすることもあります。

ただ、そういう場合でも、メリットはあるんですよ。

それが、支援者が出てきたり、企業から声がかかったりすることですね。

 

例えばTwitter連載の漫画で言うと、私が最近見たもので「パティシエとお嬢さん」という女性向けの漫画があります。

これは、最初は「私はこういうのが好き」というものを勢いだけで描いた、たった4ページのコンセプト漫画でした。

でも、それを公開したら急激に広がって、だからどんどん描き進めて、ついにはコミック化も決まっちゃったという。

 

他の例で言うと、ねこむらおたこさんという人がいます。

彼女は「こういうニャンコデザインの商品があればいいな~」と、猫グッズのデザインイメージをTwitterで公開していたと。

するとそれが広がって、ノリのいいグッズ製作会社から声がかかって商品化することになりました。

で、それが売れたので、どんどん勢いづいて次の商品を考えるようになって。

彼女はそういうアイデアを思いつくのが好きで、かつ得意だったので、今では山ほど商品をリリースしていたりもします。

 

そういう風に、先に公開して広がったとしても、メリットはあります。

そして二匹目のドジョウを狙う人は、成果が出るまではおとなしいので、成果が出ていない状態であれば問題ありません。

特にニッチを狙う場合は、この問題はほとんどないので安心して大丈夫です。

 

ファンの人たちとは競合にならない

次に、ファンの人たちも私たちをまねをする人たちになります。

でも、私たちとファンが競合になることはありません

 

というのも、ファンは「作品や作者の生き方にあこがれる」のであって、「その作品を作る制作技術」には興味がないからですね。

すなわち、ファンは「私たちが提供しているものを使って、新たなものを作り出す」という人たちです。

 

例えば私の場合、ストーリー技術を教えていますが、ファンは「ストーリーを作る技術」が欲しいのであって、「ストーリー技術を作る技術」はどうでもいいんですよ。

まぁ、好奇心程度には知りたいかもしれませんが、私のファンは「それを使って、自分なりのストーリーを作りたい」というのがメインです。

 

だから、ファンの人たちは、私たちとは方向性が変わるわけですね。

そして、私たちの持つ「作り出す技術」を求めることはほとんどありません。

なので、私たちのファンは、私たちとは競合にはなりえないと。

 

すると、どんどんファンには価値を与えて、ファンを成功させればいいと分かります。

「ファンを感激させて、成功させるほど、私たちはより豊かになる」、という関係です。

 

同業者は、ニッチを攻めれば仲間になる

最後に問題となるのが、同業者です。

彼らは、私たちが持つ「作り出す技術」そのものをまねようとします。

で、ニッチを攻める場合、彼ら同業者が仲間になるので、技術は分かち合う方がいいと分かります。

 

メジャー向けの場合、制作技術はできるだけ隠す必要があります。

というのも、メジャーは体力勝負の競争なので、競合よりも少しでも優位に立たなければ勝てないからですね。

だから、自分の手の内は見せない方が有利になります。

 

一方でニッチになると、制作技術は公開する方が効果的になります。

というのも、そもそも公開したとしても、まねをする競合がいませんからね(笑

 

そしてニッチは、「市場を奪い合う」というものではなくて、「新たな市場を作る」という世界です。

まぁよく言っていることですが、限られたパイを奪い合うのではなく、新たなパイを作り出す世界ですね。

だから、パイを作れば作るほど、豊かになれる世界です。

すると、分かち合う方が豊かになれると分かります。

 

実際にイメージしてみるといいでしょう。

目の前にはパイの原料が使い切れないほど膨大にあって、パイを作れば作るほど豊かになれます。

でも、その場所では自分を含めて、たった数人しか「パイを作りたい」と思う人がいません。

 

なら、互いに技術を教え合う方が、どんどん作れて、互いに豊かになれますよね。

「切り開く場所が山ほどある」という状態だと、人は争うことなく、自然と協力し合うようになるんですよ。

それが、ニッチのよさですよね。

だから、競争や足の引っ張り合いが苦手で、だけど仲間と協力し合うのが好きな人にとっては、ニッチはとても居心地がいいかと思います。

 

内容を隠したとしても、問題はない

ちなみに私の場合、作品については「完成の見込みが立つまでは、内容を公開しない」というスタンスが多いです。

というのも、私自身、完成できるかどうか分からないものを作っているからですね。

「次はこういうものをリリースします」と公開して、ファンに期待させて、後から「できませんでした」というのは、なんかファンの人たちに悪いな、という気がすると。

 

それに、私自身があんまり周囲からは期待はされたくないタイプだから、ということもあります。

私は制作中に邪念を持ちたくないので、制作中は他者からの評価を遠ざけたいと。

なので、コンセプトを模索する以外では、事前に「こういうのを作っています」というのは、積極的に公開しない方向性です。

 

ついでに言うと、私としては、「何でこれが世の中にないんだ!」というものを作っています。

だから、もし他の人が作ってくれるなら、それが一番楽で嬉しいことなんですよ(笑

私以外には誰もそれを作ってくれる人がいなくて、私がそれを欲して欲してたまらないから、自分で作らざるを得ないと。

 

そして作ったものを周囲にお裾分けして、喜んでもらって収益にしていることになります。

やっぱり、自分が心から欲するようなものって、他にも「こういうのがあったらなぁ」って思っている人は結構いますからね。

そういうのを作って提供すると、「実は私もこういうのが欲しかったんです」という人たちが出てきます。

なので、内容を隠したとしても、別に問題はないように思います。

 

まとめ

すると、「まねされたらどうしよう」という思いについては、結構どっちでもいいと分かります。

メジャー向けなら隠す方がいいんですが、ニッチなら公開しても問題はないと。

 

質問者さんの場合、「完成すれば世界初」というニッチを攻めているタイプなので、どちらでもいいでしょう。

それは、好みに合わせるといいかな、と思います。

 

ちなみにニッチになるほど、「見せる相手を絞り込む」という技術が必要になります。

これについては、またいつかお話できればと思います。

 

ということで今日は、「まねされたらどうしよう」という思いへの対処方法について、お話ししてみました。

今日はここまで~。

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